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2006年5月30日 (火)

メタボリック・シンドローム

私がこの言葉を初めて聞いたのは今年になってからでしたが、アメリカでは1990年代から提唱されていて、動脈硬化発生の重要な原因なのだそうです。メタボリック( Metabolic )とは代謝(注参照)の意味であり、シンドロム( Syndrome )とは症候群のことです。従って直訳すれば「代謝症候群」と呼ぶべきものですが、 日本でも同じ時期から「内臓脂肪」と動脈硬化、高血圧、高脂血症 との因果関係を研究していて、それらを「内臓脂肪症候群」と呼んでいた為に、メタボリック・シンドロームの訳語にこの言葉を当てることになったものです。外国ではそれまでは「シンドローム・X(エックス)」とか「死の四重奏」とか呼んでいましたが、メタボリック・シンドロームの名前に統一しました。

かつては動脈硬化を促すのは、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病であり、それらが別個に進行した状態の時に動脈硬化が起きると考えられていましたが、最近の研究によればそうではなく、内臓脂肪の蓄積(肥満)が原因で生活習慣病を発症し、それらが絡み合うことで急速に動脈硬化が進行する、と考えられるようになりました。

日本では去年(2005年)から日本人向けの診断基準が決められましたが、それによれば、肥満度として、オヘソの位置で計る腹囲が男性では85センチ以上、女性では90センチ以上の場合であって、次の検査で二つ以上の異常がある場合です。

1:高血糖、空腹時の血糖値が110 mg/dl以上。
2:高血圧、最大血圧(収縮期)が130 mmHg以上または、最小血圧(拡張期)が85 mmHg以上。
3:高脂血症、中性脂肪150 mg/dl以上または、HDL コレステロールが40mg/dl未満

では私の値はどうかといえば、腹囲が87で肥満であり、空腹時血糖は126で高く、最大血圧が150、最小血圧が90で高血圧、中性脂肪が226と範囲外の高脂血症でした。つまり前述の「死の四重奏」にぴったり該当していました。折も折、女房の妹の亭主が三日前に脳梗塞で倒れて意識不明になり、救急車で運ばれ入院しましたが、今も意識不明が続いています。この次は私の番(?)かも知れません。

注;)代謝の定義とは、外から取り入れた物質を基にした合成と分解からなる物質の交代と、それに伴うエネルギーの生産、消費のことです。具体的には食物を食べることによりタンパク質、糖質、脂肪を取り入れますが、例を糖質にとると、体内でブドウ糖に分解され吸収され、細胞活動のエネルギー源になります。

2006年5月25日 (木)

農耕民族と狩猟民族

人種や民族にはいろいろな分類がありますが、昔々私が住んだことがある人種差別が強い米国南部のフロリダ州の運転免許証(州により異なる)には Race (人種)欄があって、そこにはコ-ケィジャン(Caucasian、白人系)、モンゴロイド(Mongoloid、蒙古系)、ニグロイド(Negroid、黒人系)の三つの区分が書いてあり、該当する欄に「X印」が付けられていました。

敗戦直後の喰うや喰わずの食糧難だった昭和二十年代から比べると、現在では糖尿病患者が二十倍以上に急増しましたが、その原因は高度経済成長による食生活の著しい欧米化だけではなく、そこには神代の昔から延々と日本人の体内に受け継がれてきた農耕民族としての遺伝的体質に起因するものがありました。

ご存じのように農業の収穫はその年の気象により大きく左右されますが、古代から人類の歴史の九割は「飢餓の歴史」でした。そこで暮らす原始社会の人々にとって凶作、飢饉、干ばつなどの過酷な自然環境の下で生き抜く為には、イギリスの博物学者ダーウイン(1809~1882年)が「種の起源」で述べた進化論にある如く、「自然淘汰、適者生存の法則」から、飢えに適応した特別な遺伝子を持つ者が生き残るようになりました。

それが「節約遺伝子と呼ばれるもので、この遺伝子があると、血糖から脂肪を効率良く体内に取り込むことができ、いざという飢餓状態でも体内に蓄えたグリコーゲン(ブドウ糖)や脂肪をエネルギーに変換して、生命活動を維持することができました。その遺伝子を持つ人の割合が、白人系の狩猟民族よりも蒙古系の農耕民族のほうが圧倒的に多いのです。そのような遺伝子を持つ人は、いうなれば私を含めて糖尿病の系統であり、燃焼効率が良いため脂肪の摂取量が少なくて済み、ブドウ糖を血糖処理するインスリンの分泌量も少ないのです。従って御飯にミソ汁、漬け物などの粗食向きの体質であり、脂肪の多い動物性高蛋白質の贅沢な食事には不向きな体質なのです。「節約遺伝子」を持つ人が、持たない人と同じ食事をした場合は肥満になり易く、内臓脂肪が付着し易く、結果的に糖尿病になり易くなるわけです。

肥満度を示す指標に B M I (Body Mass Index)がありますが、蒙古系の場合は30才以上の男性で23~24%以上が肥満の部類に入るのに対して、白人系の場合は25~29%以上とする外国の学者の意見もあります。

一説によれば狩猟民族に比べると農耕民族のインスリンの分泌量は、約半分程度だといわれていますが、これも原始時代から続く「肉食」対「雑穀」などの食生活の違いから、膵臓の発達、ひいてはインスリンの分泌量に差ができたものです。  (続く)

注:)BMI とは体重÷身長( m)の二乗

2006年5月22日 (月)

歩きホルモン

糖尿病の運動療法について最も手軽な方法は歩くことですが、ホームページの「四国遍路の記録」にも書きましたが、定年退職後にこれまでの生活からの精神的解放と健康増進も兼ねて、距離が千二百キロとも千四百キロとも言われる四国霊場八十八箇所の遍路をして、一番の霊山寺から八十八番の大窪寺まで歩きました。

宿泊用具や衣類などを入れた五キロ~八キロのリュックを背負い、毎日三十キロから四十キロの距離をクタクタになって歩きましたが、それに比べれば糖尿病治療の運動療法としての「歩き」は空身で、しかも毎日僅か一~二時間程度歩くので、四国遍路と比べれば何でもありません。腰痛で中断したままになっていた「歩き」を、腰痛が治ったので今回早速再開しました。

我が家の老妻も市内に買い物に行く際には健康の為に、片道二キロの距離をバスに乗らずに歩くようになりましたが、一旦歩く習慣が身に付くと何となく歩きたくなるものです。我が家ではこの現象を「歩きホルモン」、つまり「運動欲求ホルモン」が出たと表現しています。

タイミングが良い事に会社の健康保険組合(特例退職者制度)から歩数計が送られて来ましたが、最近注目されるようになった「メタボリック・シンドローム,内臓脂肪症候群」、つまり内臓脂肪の蓄積(肥満)が原因で、糖尿病、高血圧、高脂血症などをもたらす病気については、予備軍を含めると、厚生労働省の発表によれば二千万人いるそうです。それをを防ぐには、手軽にできる歩行運動が良いということでした。

Omrone 早速新型の歩数計を使用していますが、従来から使用してきたベルトに付けるタイプとは異なり、センサーの性能向上からポケットに入れておくだけでも歩数を計測できる物でした。更に歩数だけでなく、予め体重を記憶させておけば歩行により消費したカロリーや、燃焼した脂肪の量(グラム)も表示しました。添付の CD-ROMから管理ソフトをインストールすることにより、パソコンと U S B ケーブルでつなぐと、計測したデータをパソコンの歩行管理の頁に送り込むことができる、「優れもの」でした。歩数計の示度によると毎日一万歩歩くので、約240キロ・カロリーを消費し、脂肪を15グラム程度燃焼したことになります。(続く)                                       

2006年5月18日 (木)

入院せずに自己流で

徒然草の一節に 「少しのことにも、先達はあらまほしき ( 有って欲しい ) ものなり 」 とありましたが、糖尿病を持つ友人の先達により医者からは得られない、患者サイドからの情報を仕入れることができて参考になりました。今後の問題は生活習慣病の治療に、一ヶ月程度の教育入院 (?) による治療をするかどうかの選択ですが、現時点で血糖値が高い以外に自覚症状が無く、「 ガン 」 のように手遅れになることもあるまいという希望的観測から、自己流の食事療法と運動により糖尿病治療に挑戦することにしました。もし失敗したらその時のこと、それから入院しても遅くはないと腹をくくりました。

4月26日に糖尿病の宣告を受けてから最初にしたことは、かかりつけの眼科医院に行き眼の網膜の検査をしたことでした。どの程度高血糖の状態が続いていたのか分かりませんが、眼の網膜に糖尿病による病変の有無を検査をしてもらったところ、異常なしでした。

Saiketsu 次に自分で血糖値を測定するのに使用する器具を、買い替えることにしました。以前使用していた指先を針で刺して血を出す穿刺具 ( テルモ製の メディセ-フ、写真の下部 )と、出た血液を吸引して血糖値を自動測定する血糖値測定器 ( テルモ製の メディセーフ・ リーダー、写真の上側 ) が、使用しなくなってからかなり年月が経っていたので、新品に買い替えました。測定時に装着する針と測定用 チップも未だ使える有効期限内でしたが、心機一転して治療に当たるために全部捨てて新しく購入し、血糖値測定に万全の用意をしました。備えあれば憂いなし (?)、あとは難関の食事療法と運動です。

友人曰く 「 君は頑固なところがあるから、自己流治療の結果が楽しみだよ 」。( 続く )

2006年5月16日 (火)

持つべきものは友

友人の一人に幸運にも (?) 入院経験のある糖尿病患者がいたので、早速彼に相談しました。彼曰く 「 ヘモグロビン A1C の値が 8.5 %  ( 4.3~5.8%が正常値 )  とは糖尿病としてはそれなりの ( 立派な ) 値だが、恐れるには当たらない。わしが入院した時は 9.7 %  だったぞ。 」 とのことでした。彼によれば糖尿病による入院とは、それまでの 「 邪悪な生活習慣 」 を改めさせる為の、「 教育目的の入院 」 とのことでした。

そう言われてみれば 「 邪悪 」 とまではいかないまでも、我ながら 「 怠惰な生活 」 の結果であったことは認めざるを得ません。彼によれば内科の中にも専門の 「 糖尿病内科 」 というのがあって、そこで受診するのが本筋だが行けば入院間違いなしだ。入院すれば一ヶ月は出られないぞ、ということでした。

では入院中何をするのかと聞くと、「食事療法や生活習慣の講義を毎週受ける、運動をするが病気の程度によって、薬を飲む、あるいは自分で インスリンの皮下注射をする訓練をして、血糖を コントロールする方法を身につけるが、8.5 % 程度では注射をせずに薬と運動で済むはずだ 」 と託宣を賜りました。( 続く )

2006年5月15日 (月)

糖尿病にやられた

管理人からの重要なお知らせ

 

「 シルバー回顧録 」  の  U R L  ( 住所 ) を、都合により下記に変更 しま した。

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http://www.rose.ne.jp/~ooha/ 

 
 
 
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http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/archives.html


今回初めて ブログなるものを書いてみることにしましたが、なにを書くのか決めていなかったので、とりあえず糖尿病について書くことにしました。俗に 「糖尿病の家系」 という言葉がありますが、私の家はまさに糖尿病の家系そのもので、父親は糖尿病から脳卒中で死亡し、すぐ上の兄も糖尿病から腎臓の人工透析を 7 年続けた結果脳梗塞で死亡しました。
 
糖尿病は出生と共に始まると言われるほど遺伝性の強い病気ですが、その原因は膵臓の働きが生まれつき弱く、そこで作る 「インスリン」 という血糖を下げる ホルモンの分泌量が少ないことによるものでした。
 
私も糖尿病の体質を受け継ぎ、血糖値を計ると常に正常と糖尿病との境界でしたので、糖尿病には注意していました。数年前までは糖尿病を防ぐために毎日 1 時間~ 1 時間半程度散歩をしてきましたが、ある時腰痛になったので整形外科に行ったところ、歩くのは腰痛に良くないとわれてそれ以来散歩を止めにしました。
 
食事療法も忘れてしまい、飲みたいだけ飲み、食べたいだけ食べる生活を続けていました。
 
ところが忘れもしない先月 ( 4 月 26 日 ) に健康診断の結果を聞きに近くの病院に行ったところ、ヘモグロビン A1 C の値がなんと 8.5 % もあり、血糖値は 328  という高い値を示し、医師からは糖尿病を宣告され、即入院が必要といわれました。( 続く )
このブログは2008年12月31日で定期更新を終了し、今後は回数をかなり減らして不定期で更新します。
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