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2006年5月25日 (木)

農耕民族と狩猟民族

人種や民族にはいろいろな分類がありますが、昔々私が住んだことがある人種差別が強い米国南部のフロリダ州の運転免許証(州により異なる)には Race (人種)欄があって、そこにはコ-ケィジャン(Caucasian、白人系)、モンゴロイド(Mongoloid、蒙古系)、ニグロイド(Negroid、黒人系)の三つの区分が書いてあり、該当する欄に「X印」が付けられていました。

敗戦直後の喰うや喰わずの食糧難だった昭和二十年代から比べると、現在では糖尿病患者が二十倍以上に急増しましたが、その原因は高度経済成長による食生活の著しい欧米化だけではなく、そこには神代の昔から延々と日本人の体内に受け継がれてきた農耕民族としての遺伝的体質に起因するものがありました。

ご存じのように農業の収穫はその年の気象により大きく左右されますが、古代から人類の歴史の九割は「飢餓の歴史」でした。そこで暮らす原始社会の人々にとって凶作、飢饉、干ばつなどの過酷な自然環境の下で生き抜く為には、イギリスの博物学者ダーウイン(1809~1882年)が「種の起源」で述べた進化論にある如く、「自然淘汰、適者生存の法則」から、飢えに適応した特別な遺伝子を持つ者が生き残るようになりました。

それが「節約遺伝子と呼ばれるもので、この遺伝子があると、血糖から脂肪を効率良く体内に取り込むことができ、いざという飢餓状態でも体内に蓄えたグリコーゲン(ブドウ糖)や脂肪をエネルギーに変換して、生命活動を維持することができました。その遺伝子を持つ人の割合が、白人系の狩猟民族よりも蒙古系の農耕民族のほうが圧倒的に多いのです。そのような遺伝子を持つ人は、いうなれば私を含めて糖尿病の系統であり、燃焼効率が良いため脂肪の摂取量が少なくて済み、ブドウ糖を血糖処理するインスリンの分泌量も少ないのです。従って御飯にミソ汁、漬け物などの粗食向きの体質であり、脂肪の多い動物性高蛋白質の贅沢な食事には不向きな体質なのです。「節約遺伝子」を持つ人が、持たない人と同じ食事をした場合は肥満になり易く、内臓脂肪が付着し易く、結果的に糖尿病になり易くなるわけです。

肥満度を示す指標に B M I (Body Mass Index)がありますが、蒙古系の場合は30才以上の男性で23~24%以上が肥満の部類に入るのに対して、白人系の場合は25~29%以上とする外国の学者の意見もあります。

一説によれば狩猟民族に比べると農耕民族のインスリンの分泌量は、約半分程度だといわれていますが、これも原始時代から続く「肉食」対「雑穀」などの食生活の違いから、膵臓の発達、ひいてはインスリンの分泌量に差ができたものです。  (続く)

注:)BMI とは体重÷身長( m)の二乗

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コメント

「欧米=狩猟民族」というのは、根拠が全く無い胡散臭い説にもかかわらず、多くの人が信じ込んでいるのが不思議です。

ヨーロッパ人の大半は農耕民族です。
ヨーロッパは、日本よりも古い時代から農業が盛んでしたし、
今でも日本よりも食料の自給率が高いです。
大昔のことを言うのなら、日本も縄文時代は狩猟民族でしたし、
現在でも、アイヌ民族、琉球民族は狩猟民族的要素を残しています。
ヨーロッパで肉食が多いのは、
狩猟によるものではなくて牧畜が盛んだからです。

記録によればヨーロッパにおける主要な農産物であるジャガイモが、南米からヨーロッパにもたらされたのは、南米のインカ帝国などを征服したスペイン人によってであり、16世紀のことでした。トウモロコシの原産地も同じく南米のアンデス高地であり、パンの原料である小麦の原産地もヨーロッパではなく中央アジアでした。となるとそれらの植物(食物)がヨーロッパに伝わる以前の、遙か昔のヨーロッパ人の食物は何に頼っていたのでしょうか?。

狩猟以外にも肉を容易に入手する為に、野生動物を長い年月を掛けて飼い慣らす牧畜がおこなわれるようになりましたが、狩猟の技術なくして、野生動物を捕らえて家畜化することは困難でした。それゆえ牧畜は、狩猟民族により始められたと解釈されます。古代から盛んになった牧畜の基は狩猟民族でしたので、欧米イコール狩猟民族としたわけです。あくまでも古代の話であり、現時点での畜産や農業生産のことではありません。

勿論日本の遺跡からも熊や鹿などの骨が出ることがありますが、熊、鹿が狩猟の対象になったものの、牧畜の対象になったわけではありません。いわゆる哺乳動物を飼育し、子を産ませ、数を増やし、食料にする牧畜は、日本の古代文化に存在しませんでした。なぜならば、古代人が農耕を選択したからです。

中央ヨーロッパに農耕が伝わったのは紀元前6,500年頃で、日本より数千年前です。それ以前の話をすれば、みな狩猟民族になってしまいます。
また、農耕と狩猟では生産効率に格段の差があるので、狩猟や牧畜中心ではヨーロッパ文明は成り立たなかったでしょう。

熊や鹿が牧畜の対象にならなかったのは、単に牧畜に向かない動物だからではないでしょうか?

鹿が牧畜に向かないなどと言うと、ニュージーランドの人達に叱られます。ニュージーランドでは鹿を高いフェンスで囲い、牧畜をしていますし、レストランに行けば鹿のステーキも食べられます。私が食べた感じでは、少し臭みがありました。

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