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2006年6月28日 (水)

航空会社は水商売

航空会社は俗にいう水商売と同じです。世間が好景気の時は黙っていても客が乗り、営業マンの中には「客の予約を断るのが仕事だ」などと豪語する者まで現れます。大会社の社長クラスともなると、国際線のファースト・クラスの席で見知らぬ人間が隣席に座るのを嫌がり、一人で二名分の座席を確保する者までいました。

Fstbed しかし一旦不況の波が押し寄せると、値段の高いファースト・クラスの客やビジネス客が減り、満席になっても儲けが少ないエコノミー・クラスまで空席が目立つようになります。写真はマユの形をした最新のファーストクラスのベッド/座席ですが、一人ずつ完全に独立していて、夜は完全水平のベッドになります。(写真はいずれも、クリックで拡大)

Fstseat 「水商売」とする理由には、航空券という商品の定価が、実際には無いのと同じということです。試しに東京からニューヨーク( JFK )までの航空運賃をインターネットで検索してご覧なさい。往復運賃がファースト・クラスで136万円、ビジネス・クラスで69万円程度ですが、問題はエコノミー料金です。

通常は28万前後ですが、最高は44万円から安い航空券では往復で、9万円~5万5千円というのまであります。航空会社により、また航空券の種類、条件、搭乗曜日、季節により値段が異なるのは水商売だからです。たとえば冷蔵庫を購入する場合に曜日によって値段が異なるとしたら、皆さんは変に思うでしょうが、「水商売」の世界では当然のことです。

不況になれば水商売は大変です。かつて1990年代に始まったバブル崩壊後の不況の中では、日本の航空会社はこぞってスチュワー「デス」の契約社員制度なるものを導入しましたが、正社員ではない、契約社員と呼ばれる一年契約のパート・タイマーの「デス」のことです。

同じ飛行機に乗務する「デス」でも、それまで採用された者は恵まれた待遇の正社員でしたが、新規採用の契約社員「デス」は一時間千数百円の乗務手当が主な収入源で、ボーナスも無く、しかも一年ごとの契約更新という条件でした。会社によれば三回契約更新すれば、正社員に登用する道が開けるそうですが、必ずしも全員が無条件で正社員の「デス」になれるわけではないようです。

会社の狙いは人件費の節約ですが、適齢期の「デス」を月収20万円程度の安いパート従業員の給料で三年間使い、その後はなるべく結婚退職でもしてもらいたいのが本音です。ところで最近は「デス」の経験者を再雇用することがおこなわれています。退職し子育ても一段落した三十才~四十才前後の元「デス」を、パート・タイマーとして雇用し、月に七日~十日間、乗務するのだそうです。乗る飛行機が昔と違っていても、「デス」の仕事は基本的に「水商売」なので、昔「水商売」をした経験があれば、すぐに慣れるのだそうです。「水商売」には経験が重要です。(続く)

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コメント

昨日が株主総会の縄文航空は連結決算が売上高・経常利益とも過去最高で、沈みそうな太陽のライバルとの対比が際立ちますね。
「うちの強みは、1999年に、スターアライアンスに加盟したことだ」と昨日の総会でも社長が大見得をきった『縄文航空の現在(いま)』特集(上)は今日から読売朝刊に連載されます。(WEB版は未だみたいですがいずれ)

縄文航空さんの株式には、大損させられました。阪神大震災後に家を建て替えましたが、その際に保有していた縄文さんの1万株を売らずにいたら、当時の1,200円から値下がりして、今では430円前後です。あの時売っていたら損をせずに済んだものを---。それでも鶴丸航空の株価300円より、少しだけ「マシ」ですが、縄文さんの株主優待券をせいぜい利用しております。

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