おつぼね制度
前回は大奥の「おしとね辞退」に関係する件について述べましたが、金野(かねの)内蔵氏から「おつぼね(お局)制度」の話を聞くことができました。お局(つぼね)とは
1:宮中で局(つぼね、個室)を賜った女官のこと
2:江戸時代に大奥で、個室を持っていた奥女中のこと
3:女中を取り締まる立場にあった老女のこと
ですが、縄文航空では20年以上前からお局(つぼね)制度があったそうな。金野内蔵氏が働き始めた昭和40年頃は、早く退職する「デス」が多くて会社が困ったものでした。折角三ヶ月間「デス」としての訓練をして現場に出ると、直ぐに制服、制帽姿で見合い写真を撮るのだそうです。それをしかるべき筋に回すと、アホな男が「デス」の肩書きにほれてすぐに結婚を申し込みました。その結果早い「デス」では現場配属の三ヶ月後に退職し、遅くても三年以内には、殆どの「デス」が結婚退職したものでした。
ある時一人の「デス」が興奮した様子で、飲み物サービスのため操縦室に入ってきました。「キャプテン(機長のこと)、あたしお客様からプロポーズされちゃったのです。これを見てください。」彼女が差し出したのは手帳をちぎって書いた紙切れに、「私と結婚してください」という文字が、電話番号と共に確かに書いてありました。
「デス」の興奮状態とは反対に、操縦室内の機長、副操縦士、航空機関士の三名の反応は冷たいものでした。「貴女をからかうための、いたずらだよ。そんな例はこれまでいくらでもあったよ」。「デス」は興奮が冷めて、静かに出て行きました。
ところで 時代が変わり今では結婚しても、しなくても退職しない「デス」が大幅に増えた結果、「デス」の平均年齢も高くなりました。乗客サービスの面からも二十代のピチピチした「デス」からサービスされるのと、プロポーションが崩れ、制服のスカートのサイズを三段階も四段階も上げた五十代の「グランマ、Grand mother デス 」からサービスされるのとでは、乗客にとっては大違いです。
そこで「デス」の退職促進対策として、高齢デスだけを組織から外し、部下を持たないグループにまとめました。端的に言えば「デス」の窓際族化であり、お局グループと呼ばれました。退職後のある日東京-大阪線に乗ったところ、不運にもお局グループの御一行からサービスを受けることになりましたが、隣席の乗客が「今日のスチュワーデスは、皆年を取っているのばかりだねー」。と仲間に話すのが聞こえました。
その点世界の航空会社のうち、サービスの良さでは常に五本の指に入るシンガポール航空は、今も「デス」の定年を三十五才にしているとのことでした。(続く)
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コメント
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新入社員のとき、いましたねーフツウの会社にも・・・おつぼねさんが・・・こんなの見つけましたが↓
http://www.toshiba.co.jp/care/cmane/c_kenkyu/index_j.htm
投稿: Y.S | 2006年6月25日 (日) 10時03分