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2006年7月31日 (月)

開けてビックリ

日本経済が復興し消費主導である大型の「いざなぎ景気」が昭和 40 年代に始まると、若い人は新婚旅行に飛行機を利用するよになりましたが、その目的地として先陣を切ったのが九州の宮崎でした。ここは地方空港としては最初に ジェット機が就航した所でしたが、やがて新婚旅行の メッカになりました。大安吉日と週末が重なった日の宮崎行きの夕方や夜の便は、乗客の殆どが新婚さんで占められていて、当時独身が勤務条件の スチュワー 「デス」 たちを羨ましがらせたものでした。

宮崎への新婚旅行 ブームがピークを迎えた昭和 49 年 ( 1974 年 )には、全国の新婚カップル約百万組のうち、実に 37 万組が宮崎に旅行しました。しかし宮崎 ブームは間もなく終わり、観光 スポットの青島海岸周辺を訪れた人数は昭和 49 年の 136 万人から、平成 15 年には僅か 21 万人と、ピーク時の 15 パーセントにまでに激減しました。

その理由は昭和 47 年 ( 1972 年 ) に日本に復帰したばかりの沖縄が、南国 ムードを求める新婚旅行客に好まれたからでした。社会が豊かになると次は旅行先が海外まで広がり、ハワイ、オーストラリア、タイ、シンガポールなどに行くようになりました。

その昔、新婚旅行の新婦の服装といえば、スーツに帽子を被るのが定番の スタイルでしたが、海外に行くようになると ジーパンに T シャツ、という ラフな日常の スタイルに変わりました。

以下は金野内蔵氏から聞いた話です。ある時成田午後 7 時半発の、シドニー行きの便でのこと、機内では乗客に対する夕食の サービスも終わりその後の映画を上映していましたが、操縦室に飲み物を運んできた チーフ ・ パーサーが、「最近の新婚さんは本当に厚かましいのだから 」 と怒っていました。その理由とは、

L-5 ( 前方から 5 番目にある ドア、つまり最後尾の ドア、の左側 ) を担当する 「 デス 」 から、トイレに入った乗客が長い時間出てこないという報告がありました。チーフ ・ パーサー が機体最後部にあるトイレに行くと、四つあるトイレの一つには確かに使用中の ライトが点灯し、内側から施錠されていて、ノックしても中から応答がありませんでした。

そこで彼女は トイレ の中で乗客が倒れているかも知れないと思い、合い鍵を使って ドアを開けることにしました。

Toilet1 ところが開けて ビックリ、個室の中には若い男女がいました。取り込んでいる最中に ドアを開けられた男は、「何すんだよー 」 と 「 逆ギレ 」 して、彼女に文句を言ったのだそうです。これに対してチーフ ・ パーサーは ドアを開けたままで、「ここはそういうことをする場所ではありません。迷惑だから直ぐに出てください」 と厳しい口調で言いました。

中にいた二人は恥ずかしそうな様子も見せずに下半身の身づくろいをして、トイレから出て座席に戻っていったとのことでした。写真は ファーストクラスの トイレで、クリックで拡大。

その話を聞きながら彼女の顔を見ると、操縦室の薄暗くした ライトに照らされた目尻には、「カラスの足跡 」 と呼ばれる 「 シワ 」 がくっきりと浮かんでいました。ところであんたは結婚する相手でもいるの?、と聞くと、いたらこんな仕事を長くしていませんよ。誰かいい人がいたら紹介して下さい、とのことでした。

その会話を聞いていた操縦室の中で最も若い航空機関士が、私は独身ですけれどと口をはさむと、彼女は 「 悪いけどあんたは私の趣味ではないし、それに年下の坊やには興味が無いの 」、とぴしゃりと言い返しました。お見事!。

彼女が操縦室から出て行くと航空機関士が、「彼女は美人だけど、( 性格が ) きついですねー。あんなのと結婚したら、一生尻の下に敷かれるので、こっちもお断りですよ 」、と負け犬の遠吠えをしました。

それを聞いた金野氏は 「 結婚相手を選ぶには、相手の性質が最も重要だよ」、と 46 年前に老妻を選択した失敗を、密かに反省しながら言いました。

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コメント

大丈夫ですか?
ご老妻がこのBlog読んだらどうします?
まあ、正反対のおのろけだと思いますが・・・

私は縄文航空で金野氏の同僚でした翌野深男ですが、今でも彼の家に何度も訪れて奥さんのことは良く存じております。彼の奥さんは俗に機械音痴(?)というのか、携帯電話のメールも打てませんので、パソコンや携帯電話で、ブログなど読めるはずがないのでご安心下さい。

ところで今日(8月1日)は大阪の人はご存じの P L 教団の花火大会で、12万発の花火が打ち上げられますが、暗い夜空を背景にして見る花火はきれいでも、大都市周辺の光の洪水を背景にして、打ち上げられた花火を上空の飛行機から見ると、少しもきれいではありません。お盆前後の時期に東京-大阪間を特に週末の夜に飛ぶと、あちこちの都市で花火を打ち上げるのが見えます。

それで安心いたしました、小生の知人の坂之上氏の奥方もパソコンは全く駄目でブログは読めないそうです。
そうそう、氏の娘さんは2-3日前に携帯を洗濯してしまいましたが、最近の製品は優秀でアドレス帳などのデータは助かったそうです。では次回の更新を楽しみにしています。失礼しました。

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