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2006年7月25日 (火)

機内のセクハラ

昭和40年代の初め頃のこと、当時は飛行機の便数も少なく、従って空港の騒音問題も無く空港には夜の門限もありませんでした。そこで郵政省(当時)はサービス向上の一環として郵便をより早く配達する為に、深夜に空いている機体を利用して札幌・東京・大阪・福岡に郵便を運ぶ郵便機を運航することになりました。パイロット達はこの便のことを「夜ばい便」と呼んでいましたが、「よばい」の意味が分からない若い人は辞書を引いて下さい。

昼間に比べ深夜に飛ぶのは良いものです。空港は空いているし、航空管制通信のうるさい交信もほとんど無く、しかも航空路も空いているので自分の好む高度で飛べるからです。夏場に発生する積乱雲(雷雲)も夜間は気温が下がるにつれて消滅し、気流も安定します。最も気楽なことは人の代わりに荷物を積むことで、揺れても郵便袋は空酔いしませんし苦情も出ませんので。

航空の黎明期のフランスにサン・テクジュペリというパイロットがいましたが、彼は小説も書き「星の王子さま」が有名でした。それ以外にも「夜間飛行」や「南方郵便機」も書きましたが、深夜に郵便機を飛びながら金野氏は、1944年にドイツ軍との空中戦で死亡した彼のことを思い出しました。

Osawari 昭和43年頃のこと金野氏は、夜間のチャーター便を飛ぶことになりましたが、甲子園球場でナイターの試合を終えたある野球チームの選手達を、大阪から東京まで運ぶ便でした。夜11時に大阪を離陸しましたが、知多半島を過ぎた辺りで「デス」が操縦室に来て「キャプテン(機長のこと)、野球選手って本当にガラが悪いので嫌になります。」と怒った調子で 言いました。話を聞くと彼女が「おしぼり」を配る為に客室の通路を歩くと、何人もの選手が彼女の「おしり」を触ったのだそうです。写真はクリックで拡大。

「あんたが美人の証拠だよ」と言って慰めるわけにもいかずに、金野氏は彼女の為に、「おさわり」という痴漢行為をした奴らに 仕返し をすることに決めました。「ベルト・サイン」を点灯するからサービスを中止するように。乗客にはこの先、揺れが予想されると機長がアナウンスするから。乗客が眠り易いように機内照明を暗くして、「デス」の座席に座ったままでいるようにと告げました。

生憎当夜は気流が良く機体は揺れなかったので、金野氏はわざと操縦輪を前後左右に動かしては機体をピッチング(縦揺れ)、ローリング(横揺れ)させました。しばらく揺れの飛行を続けた後に不届きな振る舞いをした乗客たちの様子を「デス」に聞くと、揺れが始まると空酔いで気持ちが悪くなったらしく、皆おとなしくなり眠っているとのことで、「デス」 もそれ以上の被害に遭いませんでした。ヨカッタ!。

この野球チームとは、今シーズンの開幕当時は貯金をかなり貯め首位独走か(?)と思われたものの、最近では連敗が続き、セ・リーグの B クラスに定着しつつある、某新聞社と関係があるチームのことでした。

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コメント

こんにちは
『翼よあれがパリの灯だ!』のジェームス・スチュアートは好きな俳優のひとりですが、チャールズ・リンドバーグも郵便機に乗っていませんでしたか?
オヤオヤ、4月頃ナベツネさんが「君い~、最近は毎晩酒が美味いんだよ~」と親友の三宅久之さんに宣われたアノ東京のチームですね!
ほんじゃあのOさんもNさんも乗ってたんですね(>_<)。

(追記)すみません、映画の題名は正確には『翼よ!あれが巴里の灯だ』だったようです。リンドバーグの原作を読んだ人が、内容はずっと「眠い眠い」ばかりで、どこにも「翼よ・・・・・・」なんてかっこいいセリフは出てこないとボヤいていますが、金野さんは操縦中眠くなったことは?また対処方法は?
スミソニアン博物館の《スピリット・オブ・セントルイス》をご覧になりましたか?
余談ですが、近海でよくある船の当て逃げなんかは、オートパイロットまかせの居眠り運転?が日常的だと思っているのですが、空では?
失礼しました。

N は昭和33年、 O は34年入団でしたから、当然乗っていたと思いますが、「セクハラ」をした連中の中に本人がいた(?)、かどうかは不明です。これ以外にも被害の例があり、プロ野球選手の「ガラの悪さ」は「デス」の間で当時有名でした。

ところでスピリット・オブ・セントルイスは、見ております、ハイ。

対潜哨戒機では航法担当のナビゲーター以外はシングル・クルーでしたので、12時間も飛ぶと睡魔に襲われました。眠くなったら30分でも寝ましたが、操縦席で「相手に黙って寝るな」が原則でした。

真偽の程は不明ですが、ベトナム戦争当時、グアム基地から B-52 で北ベトナムを空爆した際に、往復10時間掛かりましたが、3名のクルーの眠気さましに、米軍では覚醒剤を使用したとも言われています。

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