ズルイ乗客
飛行機の乗客の中にもズルイ奴がいるのです。荒俣落太氏によればある時成田からニューヨーク行きの便で、離陸後にファースト・クラスの乗客の数が、乗客名簿の数と合わないとチーフパーサーから報告がありました。またやられた!、と荒俣氏は思いました。
ビジネス・クラスの搭乗券( Boarding Pass )や時にはエコノミーの搭乗券を持つ乗客が、出発間際に駆け込み搭乗をして、ファースト・クラスの空いている座席に座り、あたかもファースト・クラスの客の如くに成り済ますのだそうです。 機内名簿には座席番号と名前が書いてあるので、空席のはずの座席に座っている客がいれば一応分かりますが、出発間際の駆け込み搭乗者に関しては名簿の訂正が口頭連絡の場合や、連絡が来ないままでの出発もあり得るからです。
そこで荒俣氏はチーフ・パーサーにファースト・クラスの全乗客の搭乗券の確認を命じました。その結果ビジネス・クラスの搭乗券を持ちながら、ファースト・クラスの座席にいた50代の日本人乗客が発見され、座席から追い出されました。彼の態度から今回が初めてではなさそうなので、日本に帰国後にチーフ・パーサーはキャビンレポートを、機長は状況報告者を会社に提出した結果、彼の氏名、パスポート番号、犯行が、要注意人物として社内コンピュータのブラック・リストに載せられることになりました。今後は彼がどこの空港から搭乗しても、事前に「デス」に要注意人物の情報が流され、監視の目が注がれることになります。
自己の利益獲得のために不正な手段で相手をあざむく行為をチーティング( Cheating )といいますが、学生が試験の際にするカンニングも正しい英語ではチーティングです。
「デス」の隙を見てエコノミー・クラスからビジネス・クラスに座席を移動したり、食事の前になると上のクラスの座席に密かに移動して、美味しい食事にありつこうとする「ヤカラ」が、日本人にも外人にもいるものです。しかも食事以外にも映画上映の際や夜間は安眠の為に機内の照明を暗くするので、上のクラスのより快適な座席へと潜り込み易くなります。写真は成田、サンフランシスコ線で出した、ファースト・クラスのアントレ( Entree、主要料理)、クリックで拡大。
一方「デス」の方でもスパーの万引き取り締まり係員の如くに眼を光らせていれば、不審な態度や落ち着きの無さから、なんとなくチーティングしそうな者が事前に分かるのだそうです。そういう場合はどうするのか、チーフ・パーサーに聞いてみました。 すると座席名簿から名前が分かるので、飲み物などを配る際に「田中様は今回どちらへご旅行ですか?。」などとさりげなく、相手の名前を知っていることを示して、犯行を抑止するのだそうです。
米国系の航空会社の中には乗客の不正行為には厳しい対応をする会社があり、前述のような行為をした乗客をファースト・クラスの食事、飲み物を盗もうとした窃盗未遂事件として、到着地の空港警察に事前通報し、警察に逮捕される場合があるのだそうです。その理由は一部の旅行者の間で、どの航空会社がごまかし易いとか、どこが厳しいなどの情報がインターネット上に出回っていて、趣味と実益を兼ねてマネをする者が出るのを防ぐ為だそうです。
« スチュワーデス予備校 | トップページ | いろいろな乗客 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント