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2006年7月 1日 (土)

デスの社会的地位

ある日老妻が新聞のテレビ欄を見ながら、「またアテンション・プリーズのテレビ番組をやっているわよ」と知らせました。かつて日本の女子バレーボール・チームがオリンピックで金メダルを取った頃は、いわゆる苦しい訓練やシゴキに耐えるバレーボールの「女子選手」物やスチュワー「デス」物の番組がありましたが、テレビ界には「柳の下にドジョウが、四匹も五匹もいる」ようです。

縄文航空の金野内蔵氏や鶴丸航空の荒俣落太氏と三人で雑談の際に、意見が必ず一致することがあります。それはこう言っては失礼ですが、スチュワー「デス」の仕事の80パーセントは、機内での「メシ運び」や「飲み物運び」に過ぎないのに、なぜ日本では彼女達のプライドが高く、ちやほやする男がいるのか、についてです。

ちなみに欧米先進国では「デス」の社会的地位は低く、高等教育を受けた女性のする仕事では無いとみなされています。つまり外国では例外を除き、「デス」は高卒女性の職業なのです。私の知る限り例外は K L M オランダ航空で、応募には短大卒(大学二年終了以上)の学歴が必要でした。

Seifuku 敗戦後の日本は貧しくて輸出産業も振るわずに外貨保有高が少なく、その為に昭和39年(1964年)までは、庶民は自由に海外旅行に行けませんでした。女性にとって海外に行く唯一の方法は「デス」になることで、応募には短大卒ではなく四大卒業の資格が必要でした。写真はクリックで拡大。

今でも後進国に行けば行くほど、「デス」の社会的地位が高くなるという現象に気付きます。

つまりオランダという国も、アムステルダムにあるスキポール空港がいくら立派でも、先進国ではないのです。

日本もその後は先進国の仲間入りを果たし、航空自由化に伴い航空界も発展し「デス」の需要が増大したために、昭和40年代には応募資格を四大卒から短大卒へ、そして前述した募集要項から「容姿端麗、英語堪能」が無くなり、一時期には高卒も応募可能と学歴をダウン・グレード( Down grade )させました。

ところで外国語について一言述べますと、日本人は英語が話せる、あるいはブランス語が読めるのを「教養」と捉え勝ちですが、外国ではそうではなく職業技術、ないしは生活技術とみなしています。返還後もホンコン政庁に事務職員として勤めるには英語の読み書きが必要ですし、ホテルのボーイになるには中文学校(中国語で授業する学校)卒では就職できません。

スイスのチューリッヒ空港で日本語を上手に話すスイス人がいたので、どこで習ったのか尋ねたところ、日本人が教える日本語学校に通ったのだそうです。日本語の会話能力を身に付けたことにより、良い条件で就職できたとのことでした。(続く)

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