西から昇る太陽
金野内蔵氏から以下の話を聞きました。
(その1)西から昇る太陽
「太陽が西から昇る」などといえば、気でも狂ったかと思われますが、実際にそのような光景を何度も見てきました。地上ではすでに日没になってもいても、高い山の頂には未だ日の光に照らされている場合がありますが、写真はスイスのマッタ-ホルン 4,477メートルで、ホテルの窓から撮ったものです。クリックで拡大。
日没直後に飛行機が離陸して西に向かって上昇を続けると、それにつれて地平線に没していた太陽が顔を出し始め、やがては地平線から離れて行き次第に上昇して行くように見えるのです。
「西から太陽が昇る」というのはこのことで、飛行機が上昇するにつれて太陽も西から昇り続けますが、そこにはおのずと限界があり、飛行機が1万メートルの高々度に上昇する際でも、せいぜい 6~7 分ほどで太陽の見かけの上昇は止み、日没の動きに移ります。
別な場合では、高々度を飛行中の操縦席が日没間際の太陽に照らされていても、地上はすでに日没となり、夕闇(ゆうやみ)が迫っている場合もあります。着陸の為に降下を開始すると、僅かな時間で夕闇の世界に入ることになります。明るい場所から暗い映画館に入る時のように、眼が暗さに慣れる、いわゆる暗順応(あんじゅんのう)に時間が掛かりますが、他機への見張りには普段以上に注意しなければなりません。
(その2)西から東に向かって飛ぶと
日本から北米の ニューヨーク や、ワシントン D C などに向かう時のように、東向きに長距離を飛行すると、東から西に移動する太陽とは移動方向が逆になるため、見かけ上の 相対速度が速くなります。たとえば 9月 30 日の午前 11 時に成田を出発すると、飛行中はいつもの約半分の時間で昼間が終わって暗くなり、夜の闇も時間が短くなり、すぐに夜が明けてしまいます。
予定通りですと、現地時間( 北米東部時間 )の午前 10 時 45 分に、ニューヨーク・ケネディー空港に到着しますが、機内で一晩過ごしたにもかかわらずに、日付は成田を出発した時と同じ 9月 30日です。それだけではなく午前 11 時に成田を出発したにもかかわらず、到着は出発時刻よりも 15 分早い、同じ 30 日の午前 10 時 45 分になります。日付が同じで、しかも到着時刻が出発時刻よりも早いことに、不思議な気がしませんか?。
その答は日付変更線( 東経 180 度=西経 180 度 )を西から東に越える場合には、夜が明けても同じ日付を繰り返すからです。写真はニューヨークのJ F K・ケネディ-空港です。( この続きの東から西に飛ぶ場合については、 10月 1 日に書く予定です。)
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