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2006年10月 1日 (日)

失われた夜

金野内蔵氏から以下の話を聞きました、の続き。

( その 3 ) 西に向かって 飛ぶと

航空会社が儲けるためには飛行機をなるべく地上で遊ばせないようにすることで、以前から国内線が夜間の門限の為に飛べなくなる深夜に、国内線用の飛行機を外国路線用に 資格変更 (外変)  して、グアム 線などに使用 していま した。 縄文航空では現在も関西空港から 21 時 30 分発の グアム 行きがあり、翌朝 08 時 25 分に戻って来て、今度は国内線用に飛行機の資格変更 ( 内変 )  をしています。

同様に J A L ウエイズ ( 鶴丸航空が運航主体 ) でも成田発 21 時 40 分、グアム 着  02 時 15 分、グアム 発 04 時 30 分、成田着 07 時 10 分の深夜便を運航 していますが、いずれも エコノミー ・ クラスだけの機体なので、外変、内変をして昼間は国内線に使用 しているはずです。

ところで目的地に着いた飛行機は、なるべく短い停留時間で次の フライト に使用 しますが、縄文航空の場合は J  F  K  ( ケネディー ) 空港に到着後、1 時間 45 分後に  トンボ 帰り します。その間に機内の清掃、燃料補給などの機体の点検整備、食事の搭載などを済ませると、ケネディー空港を同 じ日 ( 9 月 30 日 ) の昼間 の 12 時 30 分に出発 して成田に向かいます。

日本から 12 時間も飛んで来た機体がまた 14 時間 半も飛んで帰るのかと思うと、ご苦労様です。どうぞ  エンジン が故障せぬようにと、無神論者の金野氏も故郷である 栃木県の村にある 八幡神社 を含めて、八百万 ( やおよろず ) の神々に安全を祈りたくなるのだそうです。

Suika ところで スイカ の表面に 二箇所 「 しるし 」 を付けて、そこを通るように スイカ を切る場合には、通常 スイカ の中心を通るように切りますが、それは切り易いと共に、二箇所の 印 の間の寸法 ( 距離 ) が最も短くなります。

地理学では地球上の 二地点間の距離が最短となるような ( スイカ の切り口が描く  ) 弧を、大圏 ( たいけん、Great Circle ) と呼びます。 写真は クリック で拡大。

長距離を飛行する場合には最短の距離だけではなく、ジェット 気流 ( 強い西風 )  の向風 ( 又は追風 ) の影響も考慮 して ルート を決めます。 一般には大圏に近い ルート を飛行するので、ニューヨーク の緯度、北緯  40.6  度から最初は西北西の針路を飛行して、アラスカ 州  アンカレージ  の北緯  61 度付近まで北上 し、その後は成田がある北緯 35.7 度まで西南西のコースで南へ下がります。

Sky 帰りの フライト は太陽の移動方向と同じ西方向に飛行するため、成田までは昼間の フライト がずっと続きますが、太陽の見かけの移動速度 ( 24 時間で赤道を 一周する速度 ) が飛行機よりも速いので、最初は真上に見えていた太陽が次第に飛行機の前方に見えるようになります。

14  時間半の長い フライト  を終えて成田に到着すると、予定では日本時間の午後  3  時 25 分ですが、日付が変わって 10 月 1 日になっていま した。往路と違い日付変更線を東から西に越えた為に、夜が来ないにもかかわらず、日付が変わっていま した。

ここでよく考えて下さい。ニューヨークを 9 月 30 日の昼に出て昼間の飛行を 14 時間 半 続け、成田に夕方着いたものの、 

日付が10月1日

  になったのであれば、9 月 30 日の夜はどこに行って しまったのでしょうか?。  もし貴方が毎晩日記を書くとしてこの飛行機に乗っていたら、貴方の日記帳では  9 月 30 日 の欄は空白のはずです。

それどころか貴方の人生で平成 18 年 9 月 30 日の夜は永久に失われて しまいま した。これを 失われた夜( Lost Night ) といいますが、貴方の人生にとって プラス、マイナスのいずれになったのでしょうか?。ちなみに ニューヨーク やワシントン D C 線を月に 二回飛ぶ乗組員は、月に 二度も夜を失うことになります。外国の航空会社では失われた夜の手当 ( Lost night Allowance ) を出せと、乗組員の労働組合が要求 しま したが、会社は拒否 しま した。

ところで秋は旅行の シーズン ですが、今月は管理人にとって旅行の予定が 三回あり、10月 2 日からは 40 年続く、学童集団疎開当時の小学校 六年の クラス 会 の旅行が伊勢志摩方面にあるなど留守が多く、今月は ブログ の休みが多くなります。

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コメント

JALウェイズの運用間違えてるぜ。
成田発の国内線では伊丹便しか747が飛んでいなかった頃に全て間合いで国内に回る分けないでしょ。
韓国線、中国線、台湾線で飛んでいました。
少しは、自己記憶のみから脱却された記事を書かれたら如何ですか?

アドバイスを、ありがとうございました。

ところで JAL ウエイズにしては礼儀に欠けた物言いですね。航空従事者であるとしたら、なおさらです。

貴方の知性と教養にあふれた ブログを、ぜひ拝見したいものです。

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