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2006年11月 9日 (木)

機内での賭博

金野氏から聞いた話によれば、その昔国際線の機内で、サイコロ 賭博を開帳した連中がいたそうな。

成田から北京行きのコースは福岡上空から五島列島の福江島を通り、航空路の A-593 で上海に行き、そこから北上するルートでした。しかし現在では韓国の上空を経由する、近道のルートに変わりました。

Meshi2 成田を十時に出発した飛行機の機内では、一時間後から食事前のアルコール類のサービスを開始し、続いて昼食の ミール・サービスを始めました。福江と上海を結ぶ航空路には日本と韓国、中国の航空交通管制区が入り組んでいますが、更に面倒なことに日本や韓国では、高度の単位に欧米諸国並みに フィート(尺、)単位を使用しますが、中国では ロシアや、東欧諸国と同様に、メートル単位を使用して航空管制をしています。

つまり日本から中国に行く場合には使用する高度の単位が異なるため、航空交通管制区域の境界を通過する時点で、高度の上昇、あるいは降下が必ず必要になります。その地域は当時中国の管制 レーダーの圏外のために、頻繁に位置通報をする必要がありました。その最も忙しい時に、エコノミー・クラスを担当する 「パーサー」 から インターフォンで連絡があり、乗客が 「バクチ」 を始めたらしいと言ってきました。

Saikoro 公海上を飛行していていても、日本国籍の機内では日本の法律が適用されるので、直ぐに賭博を止めさせるようにと指示しました。ところが パーサー が注意をしても止めないとのことなので、様子を聞くと、どうやら暴力団の一味らしく、「盆ゴザ」や 「サイコロ」を機内に持ち込んで、 R-3(右側の前から三番目)の ドアの空間のところで 賭場を開帳して、万円札が飛び交っている様子でした。

忙しくない場所を飛行中であれば、機内の規律保持に責任を持つ機長として相手に「舐めるられてたまるか」と、金野氏が早速現場に出向き、機長権限で賭博を 止めさせようと思いましたが、この空域では過去に何度も中国側の管制 ミスから、飛行機同士のニアー・ミス(異常接近)があったため、他機への見張りに十分注意する必要があり、操縦席を離れて客室に出向くのを止めにしました。そこで チーフ・パーサを操縦席に呼び、暴力団の一番偉そうな奴に、機長からの伝言を伝えるように命じました。

Kousoku 飛行機は現在中国の領空を飛行しています。従って中国の法律が適用されます。聞くところによると、共産主義の中国では賭博は重罪であり、死刑もあり得るそうです。今直ぐに賭博を中止しなければ、飛行機は間もなく上海上空なので、直ちに上海に緊急着陸をして中国の空港警察に、貴方がたを賭博の犯人として引き渡します。

チーフ・パーサーから機長の伝言を聞いた連中は、中国の警察に身柄を引き渡されたくなかったのでしょう。すぐに賭博を止めました。

北京に到着後本社の営業に連絡したところ、女性一人を含めた八人の グループでツアーに入り、四日後にホンコンから帰国する スケジュールであることが判明しました。帰り便の機長に情報を伝えることにすると共に、機内での賭博を開帳させないように、ホンコン出国時の手荷物検査を厳重にするよう依頼することにしました。ホンコンからの帰国便の機内では、彼等は賭博をしなかったとのことで、一件落着しました。

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コメント

なるほど・・公海上の日本籍機では日本の法律が適用されるのですね。
外国籍機をチャーターして公海上の「フライング・カジノ」もダメでしょうか?

日本の刑法第一条
本法は何人を問わず日本国内に於いて罪を犯したる者に之を適用すとあり、更に 二項では、日本国外に在る日本船舶、又は日本航空機内に於いて罪を犯したる者に付き、亦同じとあります。

原則的に日本人が外国に行った場合(その国の飛行機内もまた同じ)には、その国の法律に従う決まりなので、もし 「カジノ」 での賭博行為がその国で合法であれば、日本人も合法的に遊べるということです。

チャーターの形態 (ウエット、またはドライ) が問題ですが、機体と乗員を含めた ウエット・チャーターの場合には、機体の国籍が外国籍のままなので、前述の如くその国で「カジノ賭博」が認められているのであれば、公海上での 「フライング・カジノ」 は可能になります。

現在読売新聞連載中の「時代の証言者」シリーズを見ていますと、今日の記事では、日航機事故のジャンボ機が生還できる可能性があったかどうかの検証に、ANAの訓練センターのフライトシュミレーターを使って教官クラスのパイロットに操縦させたが、次々と墜落などのくだりは興味深いですが、なぜJALでなくANAのを使ったのですか?
1986年、ANA初の海外定期便が飛んだころだそうです。

その件については知りませんが、想像すると二つの理由が考えられます。

1: ANA のフライト・シミュレーターの性能上の問題で、パソコン同様に新しいものほど高性能で、実機に近い操縦感覚が得られるのが一般的です。ANA の機材は六軸の自由度を持ち、ビジュアル装置を含めて、 JAL よりも十年近く新しいのではないかと思います。

2:実験の中立性、公平性の問題からで、事故を起こした会社のパイロットが出す結論よりも、他社の結論の方が、より説得力があると判断した結果だと思います。

ちなみに航空会社の操縦教官とは、操縦が 「下手なパイロット」 を除き、誰でもがなれる配置ですので、念のため。

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