テーブルマナーと犯罪
いまさら食事の際のナイフやフォークの使い方や、スープの食べ方(英語では飲むとは言わず eat と言います )を述べるつもりはありませんが、女性が「ハンドバッグ」を食卓やテーブルの上に置くことが、なぜマナーに反する行為なのでしょうか?。
その昔 我が家の女房の体験から、「理由」を初めて知りました。外国ではどこの国に行っても公衆便所の女性用トイレには、「ハンドバッグ」を掛ける金具が殆ど無く、従ってバッグを両足の間に置いて用を足すのだそうです。つまりバッグを「便所の床」に置くという社会的習慣から、汚染されたハンドバッグを食卓やテーブルの上に置くのはマナー違反であり、食事の席では椅子の背もたれと腰の間に置くようになったのでした。
翻って日本の女性用公衆トイレには、ハンドバッグを掛ける金具が必ずあるそうなので、バッグは不衛生な品物ではなく、三十年前の日本では ルイ・ヴィトンのバッグのように、むしろ「虚栄と経済力(?)を誇示する象徴」でもありました。
長靴の形をしたイタリアでは、南に行くほど治安が悪く犯罪の発生率が増加しますが、その事件はローマのホテルで起きました。バイキング形式の朝食の際に、日本からの団体旅行中の女性の一人が日本でよくやる習慣から、貴重品の入ったバッグを場所取りの為にテーブルの上に置いたままで、食べ物を取りに行きました。ところがその僅かな隙を狙っていた地元の犯罪者の置き引きに遭い、ハンンドバッグを盗まれた中年女性は半狂乱になりました。
外国では命の次に大切なパスポートや所持金全部が入った財布を盗まれた彼女が、取り乱したのは無理からぬことでした。彼女の日本への帰国はパスポートに代わる 帰国の為の渡航書 (直行便に搭乗する場合にのみ使用)の取得の為、早くても数日から、一週間は遅れる事態になったことは間違いありません。
それには地元の警察署に行き盗難届( Theft report )を提出し、そのコピーと自分の写真二枚を用意して日本の大使館( アンバッシアータ・デル・ジャポネ 、Ambasciata del Giappone )や総領事館に行き、渡航書の申請手続が必要になります。イタリア語は勿論のこと、英語も話せないと思われる女性にとって、泣きたくなる程の辛い仕事に違いありません。写真は ローマにある日本大使館で、クリックで拡大。
それだけでなく ホテルの宿泊追加に加え、安いツアーの帰国便に乗り遅れた為に、正規運賃を支払う羽目になり、「泣き面に蜂」の事態になったことでしょう。平和ボケ をして防犯意識に欠けた日本人旅行者を狙うスリ、ひったくり、買物や食事の際の ボッタクリ や釣り銭のごまかし、偽警察官、ホテルの支払いでは取ってもいない ルームサービス代、飲んでもいない バーの代金請求など、ホテル従業員による ゴマカシや、窃盗など、海外の犯罪には、くれぐれもご用心を。
シルバー回顧録へ戻るにはここをクリック
« 昔の機内サービス | トップページ | 自然が呼ぶ »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
« 昔の機内サービス | トップページ | 自然が呼ぶ »
いつも楽しく拝見しております。
初めてのコメントですが、過去にオランダで偽警官にやられました・・・
買い物の帰りに一人の若者に声を掛けられ、両替を頼まれて断ると同時に偽警官が登場して、まるで手品のようにフローリンがドルに変わってました(-_-;)
実害は1万ほどだったので勉強代と思い、気前よくホテルのフロントにある寄付をするボックスに1ドル10枚を寄付して帰りました。
今となってはいい思い出ですね。
今後も楽しいお話楽しみにしてます。
ところで、神戸空港の着陸がすごく怖かったのですが、何か情報がありますでしょうか?
投稿: powerman | 2006年12月 4日 (月) 03時12分
偽警察官に遭われたそうですが、被害が少なくてなによりでした。一般にいわれていることは「身分証明書の提示を求めること」ですが、連中も偽の身分証明書を用意している場合が多く、オランダ語やイタリア語で書かれた証明書を見せられても、本物か偽物か見分けるのは旅行者にとって至難のわざです。
周囲の人に見て貰えと言われても、なかなかできないことです。それゆえ外国では 「人を見たら泥棒と思え」の「ことわざ」を思い出して、見知らぬ人が声を掛けてきた場合には、何か良からぬ意図を持つと判断して、無視することです。私は何度もそうしてきました。
神戸空港の件ですが、あいにく私が退職してからオープンしたために、離陸や着陸の経験がありません。地理的には北風が吹くと、北側にある六甲山からの吹き下ろし(六甲おろし)の風による乱気流が予想されますが、旧ホンコン(カイタック、啓徳)空港のように、山に囲まれた地形ではなく海上空港なので、乱気流も「それなり」のものだと思います。
投稿: Oohashi.Y. | 2006年12月 4日 (月) 09時17分
神戸空港の件ですが、離陸はスペースシャトルがごとくかなりの急角度で上昇しました。
何より驚いたのが、着陸の際、瀬戸内海を通り、須磨の辺りから海岸沿いを飛んで進入して行くのですが(須磨海岸の人は見えました)空港手前(ハーバーランドの辺り)で大きく右に旋回してまた左に旋回、すぐに着陸。という着陸でした。機内のモニターに滑走路が映ってから旋回するのは初めてだったので・・・
そういう空港もあるんですね・・・
投稿: powerman | 2006年12月 4日 (月) 22時44分
>スペースシャトルがごとく、かなりの急角度で上昇しました。
そういう意味で怖かったのですか?。
やや専門的な説明しますと、離陸後の初期上昇速度は、1.3 VS 、 つまり失速速度の1.3倍と決められていて、関空でも大阪伊丹でも神戸空港でも異なることはありません。
離陸後の初期上昇時における機首上げ角度は、機種により多少異なりますが、通常15度付近です。急角度での上昇とはよほど失速速度が少ない、つまり乗客や貨物が少なく、機体が軽かったに違いありませんが、20度を超えることはまずありません。エンジンに流入する空気が機軸に対して平行方向からではなく、斜め下方から流入するために、エンジンの燃焼に異常を起こすからです。
滑走路への着陸方法には、直線進入と周回進入とがあり、神戸空港では計器進入着陸( Instrument Approach Landing )ができるのは東側からの着陸だけです。西側から着陸する場合には目視で滑走路の1.5マイル(約3キロ)南側を滑走路と平行に高度千五百フィート(四百五十メートル)で飛び、回り込んで着陸します。
周回進入は神戸空港だけでなく、日本では殆どの空港でおこなわれていて、羽田空港で南風が吹くと滑走路 16 に周回進入します。
投稿: | 2006年12月 7日 (木) 15時32分
回答ありがとうございます。
そうですね、確かに西側からの進入でした。
今まで計器進入着陸しか経験した事が無かったので、
驚きましたが、航空業界では当たり前の事なんですね。
フライトシミュレーターだけの世界と思ってました(^_^)
投稿: powerman | 2006年12月 8日 (金) 11時44分