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2006年12月11日 (月)

女性用便器

聞くところによると最近の家庭では「小用」の際に、男性でも洋式トイレで「座って」する者が多いそうですが、子供の頃から便器の周囲を汚すからと座ってするように母親から躾けられ、結婚後は奥さんに小言を言われて座るようになったのだそうです。

こと「小」に関しては昔から男性は立って、女性は「しゃがんで」するものと思っていましたが、紀元前五世紀にエジプトを旅行した古代ギリシャの歴史家 ヘロドトス(BC 484年頃)によれば、エジプトでは女性が立って「用」を足し、男性は反対に「しゃがんで」する姿を見て驚いたと記述していました。

実は日本でも昔から京都の女性が立って「小」をするので有名でした。江戸時代に有名な 「南総里見八犬伝」などを書いた戯作者の曲亭馬琴(1767~1848年)が、享和3年(1803年)に京都に旅をしましたが、その際に京おんなの「立ちション」を見て次のように書いています。

街中で富家(金持ちの家)の女房も、小便をことごとく立ったままするなり。ただし良(良家の婦女)、賤(賤しい女性)とも紙を用いず。

従者を二~三人連れた女が、道端の小便桶に立ちながら尻を向けて小便しても、恥じる色なく、笑う人なし。

それまで京の女性は優雅で上品だとばかり思っていた江戸っ子の幻想は、この姿を見て無惨に砕かれてしまいました。江戸時代の川柳を 「自然が呼ぶ」 のコメント欄から再掲しますと、京おんな、立ってたれるが少しきず とありました。

当時の京都の家々の厠の前や道端には小便桶がありましたが、尿は百姓に売れる商品であり、カネになるものを無駄にしないよう 「始末、算用」 を旨とする上方の合理精神の現れでした。なお 明治、大正時代までも、この習慣を見ることができたのだそうです。

Tachishon 戦後強くなったのは 「女性と靴下」 といわれましたが、ナイロン製のストッキングが開発される以前は 「しゃがんで」 すると、高価な絹のストッキングが伸びたり、伝線する原因にもなりました。そこで東洋陶器(現TOTO)がアメリカで流行の女性用便器を参考にして、立ったままでする女性用小便器を 「サニスタンド」 の名前で、昭和26年に売り出しました。しかし女性の 「立ちション」 の習慣が廃れたことから売れ行きは伸びず、昭和46年に生産中止になりました。写真はクリックで拡大。

以前アメリカの私立女子高校に留学した女性の体験談を読んだことがありましたが、その学校のトイレには片側が「大」用の便器が並び、他方には女性の立ちション用便器が並んでいて、多くの女子学生が 「立ちション」をしていたそうです。しかも終了後は紙を使わないのだそうです。彼女は最初は紙で拭いていたものの、やがて 「郷に入りては郷に従え」 で紙を使用しなくても慣れたのだそうです。

世界でも「立ち組」は現在も多く、外人女性選手が競技に訪れる国立競技場の女性トイレには、「サニスタンド」があるそうです。なお使用法はサニスタンドに背を向けて立ち、両手が膝に触れる程度に上半身を前傾するのだそうです。前傾姿勢(?)が必要なのは スキーだけか と思いましたが、意外な場面でも必要なことが分かりました。

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コメント

そういえば、昭和25年(1950)まで暮らした木曾の田舎で、農婦のそれを何度か見ました。前傾姿勢でしたね。

その当時、栃木県の田舎では、年寄りは「立ち組」、若い女性は「しゃがみ組」でした。

なんでも、松下電器の調査では、いわゆる洋式トイレに男性が立ってオシッコをすると、1日7回として約2700発のシブキが周囲に飛び散るそうです(数字はうろ覚えなので多少違うかもしれません)。
だから、世の奥様方がダンナにオシッコも座ってせよと命じるのは、あながち無茶をいってるのでもないようです。
解決法はこれといってなく、なるべく中央に命中させることだそうで、同社は、便器のセンターに標的がグリーンの照明で現れるヤツを発売したそうです。

すごい数字ですね。ところで数日前に、山の仲間と泊まりがけの忘年会を宝塚でしましたが、例の縄文の元パイロット O B の作家でした U 氏が、前立腺ガンの為、今月初めに死亡したとのことでした。六十三才でした。

作家の死は知りませんでした。かなり売れていたようですね・・印税は未亡人に・・でしょうね、当然。
縄文航空OBには航空作家予備軍も多数おられるようですが、おなじような文体の元機長作家が現れたりはしませんか。
元機長という経歴はやはり貴重な存在です。

縄文OBの弟も、幸運なことに自治体の無料検診で分かって、最近胃の内視鏡手術をしたそうです。早期だったので大丈夫と本人は言ってるようですが・・

タイの僧侶(男性)は女性と同じように必ず座ってするのが戒律ですね。それも外では食べ物(野菜)などにも引っ掛けないようにします。下着はつけてないのでどこでもしゃがんでできます。たちしょんをしている僧侶を見かけたら修行不足の僧です。
昔「空のトイレット部長」なるエッセイの本がありましたが、大橋先輩も経験がおありでしょう。

Suchitoo さま、

ご無沙汰しております。ところでタイの僧侶が女性と同じように「座ってする」とは、「しゃがむ」スタイルだと思いますが、それとも椅子かなにかに座るのでしょうか?。

「空のトイレット部長」というエッセイは不幸にして読んでおりませんが、七十三才になるまで乗り物のうち、新幹線の中だけは「大」をしたことがありません。老い先短い小生としては、それをせずに逝くのが心残りです。ハイ。

お元気で何よりです。私のBLOGにも大橋先輩の「女性用便器」のことを書きました。最近このことの話をしたら、飛散のことがあり友人の皆さん(特に女性)座ることには大賛成です。
タイの僧侶のことは洋式便所なら女性と同じスタイル、一般的にタイでは便器は和式スタイルですので椅子は使いません。
尚、<空のトイレット部長>は関口規久二「筆名:浮走三平」1969年刊・秋田書店です。が、そんなに空のトイレ事情の話は10編程度と多くないです。

suchitoo さま

となるとシブキ防止の観点から、日本の男子は 「小」 の場合でも家庭の便座付きトイレでは、座ることがスタンダードになり、やがては「性徴」 も退化、矮小化して行き、ついには失われてしまう (?) のではないかと心配しております。

今年も残り僅かですが、良い新年をお迎え下さい。

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