6,352人対、726人
この数字が何を意味するのか分かりますか?。実はどちらも事故による、年間の死者の数です。
警察庁の統計によれば平成18年度の交通事故による死者の数 (24時間以内に死亡)は、6,352人で、最悪だった昭和45年 (1970年)の 16,765人に比べると、約 38 パーセントまで減少しました。減ったというものの一日平均では、17.4人が交通事故で死亡しています。
ところで昭和25年 (1950年)から平成12年 (2000年)までの 50年間に、世界の民間航空機の事故は 453件でしたが、このうち日本で起きた事故は 19件でした。
世界の航空機事故における死者の数は 36,307人で、一事故当たりの死者は 80人、年平均にすると 726人になりますが、日本における交通事故の死者はこの 8.7倍になります。
これまで最悪の死者を出した航空機事故は、昭和52年 (1977年)に、大西洋上の カナリヤ 諸島の サンタクルス・デ・テネリフェ 島 (スペイン領)にある、テネリフェ ( Tenerife )空港で起きた二機の ジャンボ機の衝突事故でした。写真はクリックで拡大。
濃霧の滑走路上をゆっくり走っていた パンナム航空の ジャンボ・ジェット機に、KLM オランダ航空の ジャンボ機が離陸許可を受けずに離陸を開始したために、二機が滑走路上で衝突して 577名が死亡し、後に重傷患者が死亡したために、死者の合計は 583名になりました。
KLM の パイロットは濃霧の為に滑走路上にいた ジャンボを視認できず、管制官の指示を聞き逃したのでした。御巣鷹山の事故は死者の数では二番目でしたが、単独機による事故では世界一でした。
航空機の事故率については世界共通の基準がありますが、それの最近の数字は
1:輸送実績 1億人/キロ 当たりの死亡乗客数、0.04人
2:10 万飛行時間当たりの死亡事故件数は、0.07件です。
分かり易いように具体的な例に置き換えてみますと、
「1」 について成田と ニューヨーク間、6,737 マイル (12,475 キロ)を計算し易いように 1万 キロと仮定すると、12万5千回往復すると死亡事故に遭うことになります。
「2」 については、サンフランシスコ から成田までの飛行時間の10時間を、14万3千回往復して死亡事故に遭遇する確率になります。
しかしこの数字にだまされてはいけません。以前の ブログで述べた御巣鷹山事故の際には 四系統もあった ジャンボ機の油圧システムが全部不作動になりましたが、その事態が起きる確率は、昭和 60年当時の世界では、562機の ジャンボ 機が年間 194万時間飛行していたので、 515年に一度起きる計算でした。ところが 515年どころか、ジャンボ 機の初飛行から僅か 15年しか経たない内に、四系統の油圧が全部失われ操縦不能から墜落し、520名の死者を出しました。
参考までに自家用車の油圧 ブレーキ は通常 一系統ですが、高級車になると独立した 二系統になり、どちらか 一方の ブレーキ系統が故障しても、ブレーキが利かなくなることはありません。
民間航空機の事故は航空技術の進歩、訓練方法の改善により確実に減少してきましたが、その一方で機材の大型化に伴い、一旦事故が起きると犠牲者の数は増大します。当初の引き渡しが大幅に遅れている エアバス社の 380 型機は 総二階建ての機体ですが、全て エコノミー 席にした場合には 800人も乗りますが、事故が起きたら大変です。