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2007年6月11日 (月)

事故の補償金

私は年に数回、東京=大阪を飛行機で往復しますが、「 事故で死ぬのであれば列車事故や自動車事故ではなく、なるべく飛行機事故で---?」 と思っています。

[その、一]
平成6年(1994年)に名古屋空港で墜落し、乗客249名が死亡した中華航空の事故では一人当たり1,940万円の補償金を支払う意向を会社が発表しましたが、遺族側が不満で訴訟を起こしましたが、どうなったか知りません。

[その、二]
Garuda1 平成8年(1996年)に福岡で離陸に失敗し炎上したガルーダ・インドネシア航空事故( 死者3名、負傷170名 )の際には、会社が遺族に告げた補償限度額は 1,500万円でした。

[その、三]
Burmaf27 昔 ビルマ航空 ( Burma Airways ) という旧 ビルマ ( 現 ミャンマー )の国営航空がありましたが、現在の ミャンマー国際航空 ( M A I 、Myanmar Airways International ) の前身です。ビルマ 航空ではかつて フォッカー 27型機 ( フレンドシップ ) が墜落し

昭和62年(1987年)6月に、死者45名
昭和62年(1987年)10月に、死者49名

の事故を起こしましたが、ビルマ航空の運送約款、つまり航空事業者 ( ビルマ政府 ) と利用客との間の契約では、事故責任を 「 免責 」 とする、分かり易く言えば 事故が起きても一切の責任を負わない とする契約条項があったので、遺族に対する補償金は一銭も支払いませんでした

航空会社の運送責任に関する国際的取り決めとして最新のものは、カナダの モントリオールで決議され、平成15年に発効した モントリオール条約です。この条約には世界の主要国の殆どが加盟しています。

日本では自動車賠償責任保険 ( 強制保険 ) の死亡保険金でさえ、最高三千万円の額ですが、殆どの ドライバー は自己防衛の為に、任意の自動車保険にも加入していて、対人賠償の金額を無制限とするのが常識です。

自動車保険の対人賠償が無制限なのに、航空機の賠償責任限度を低く抑えるのはおかしいという乗客の意見から、日本の航空会社では平成 4年(1992年)から、航空機事故における責任限度額の上限を撤廃し、無制限としました。その結果 御巣鷹山の事故の際には、ウワサによると 一人平均 八千万円 (?) という、賠償金が支払われたとのことでした。

モントリオール 条約によれば国際航空の責任限度額( 支払上限金額 )を撤廃すると共に、無過失責任、つまりテロ攻撃などのように航空会社に過失が無くても 10万SDR( 約2,200万円、注参照 )までは補償に応じることになりました。

(注)
DSR とは国際通貨基金の定める特別引き出し権 ( Special Drawing Rights ) のことで、三ヶ月ごとに決める国際相場により変化します。

この モントリオール 条約に未加入の国や航空会社のうち、日本に乗り入れているものでは、

ロシア、中国の全航空会社、台湾の中華航空(事故の常連)、ガルーダ、フィリピン、エア・インディア、パキスタン、イラン航空などですから、安い海外ツアーや、安い航空券で上記の会社の飛行機に乗る場合には、事故の際の補償金が極めて少ないので、くれぐれもご用心を。

コード・シェアリングの便に搭乗中に、事故に遭ったならばどうなるのでしょうか?。

前回のブログで述べた全日空の航空券を持ち、中国、国際航空の飛行機で事故に遭った場合には、航空券を販売した航空会社の運送約款が原則 ( 注参照 ) として適用されますが、同じ機体に乗っていても、全日空の航空券を購入した乗客と、中国、国際航空の航空券を購入した乗客では適用される運送約款、つまり補償の支払限度額が大きく異なるという事態になります。コード・シェアリングには色々な問題がありますが、未だこれに該当する事故での裁判が起きていないので、判例がないのだそうです。

注:) エンドース の場合を除く。
エンドース ( Endorse 、裏書き ) とは、自分の都合で航空会社を変更する場合で、全日空の航空券の裏面にある エンドース欄に、航空会社の変更を認める旨の ハンコ を押してもらい、他社機  に乗る場合には、他社  の運送約款が適用されます。

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コメント

いつぞやのブログでその件お話がありましたのでどうせ乗るなら
日系機と思っていましたが、
コード・シェアリングされて適用される運送約款が変わってしまう・・・
恐ろしいことですね・・・・きっと事故はないでしょうけれど、
リアルに想像すると・・恐ろしいことです・・・・。

海外旅行は老齢の為に止めましたが、国内の ツアー旅行では保険料が安いので、いつも旅行保険に加入します。死亡保険金 四千万円の分です。子供達からは、「 話だけでなく、たまには良い思いをさせてよー」 と言われながら---!。

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