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2007年7月 6日 (金)

高所恐怖症のパイロット

大分県九重 ( くじゅう ) 町に昨年 『 九重、夢の大吊り橋 』  ができるまでは、茨城県常陸太田市の龍神峡にある、『 龍神大吊り橋 』  ( 長さ 375メートル、高さ100メートル )が日本一の吊り橋で、奈良県の中央部、十津川(とつかわ)村にある 『 谷瀬 ( たにせ ) の吊り橋 』 が 二番目といわれていました。

Yumeturi 昨年10月30日に完成した  『 九重、夢の大吊り橋 』 を、開通一ヶ月後に訪れましたが、住民の日常交通用の吊り橋ではなく、観光名物にするための吊り橋に過ぎず、谷の向こう側には人家もありませんでした。吊り橋の長さは 390メートル、高さは 173メートルで、毎日一万人以上の人が 五百円を払って渡りに来るので、九重町は笑いが止まらないと聞きました。休日には 1~2時間待ちの状態だそうです。写真はクリックで拡大。

ところで昭和29年(1954年)に作られた 『 谷瀬の吊り橋 』 は、文字通り生活の為の吊り橋であり、しかもその架橋費は公的資金に頼らず、対岸にある集落の人が一世帯当たり 三十万円という当時の大金を負担して、長さ 297.7メートル、高さ 50メートルの吊り橋を建設したのだそうです。

Tanise2 ある時 パイロット仲間で温泉旅行に行くことになり、数台の車に分乗して和歌山県南部にある川湯温泉に行きましたが、その途中にある 『 谷瀬の吊り橋 』 に立ち寄りました。皆で渡ることにしましたが、幅が 八十センチの板の上を歩くのですが、下がよく見えるし、吊り橋がゆらゆら揺れました。ところが 十五メートルも歩かない内に、一人の パイロットが   「 もう駄目だ 」  と言ったかと思うと、立ち止まってしまいました。

下を見ると眼が回りそうで歩けないというのです。仕方がないので仲間の一人が戻って彼に自分の肩をつかませて、一歩ずつ歩かせて無事に戻りました。 パイロットのくせに高所恐怖症であることを皆から笑われましたが、空の上では少しも怖くないのだそうです。

ある心理学の本によれば、直接あるいは間接的に地面とつながりがあると高所恐怖症が起きるが 、つながっていなければ起きないとありました。 そういえば飛行機の中で、外の景色を見て高所恐怖症になった乗客の例などは、これまで聞いたことがありませんでした。

Taminaru ところで高所恐怖症の人は、スチュワー「 デス 」 にはなれません。
「デス」 の最大の任務は保安要員としての役目であり、飛行機が不時着した場合などに、乗客を安全に脱出させ、避難・誘導することは最も重要な仕事です。 大型 ジェット機の客室の床は地上から約 三 メートル (一階の屋根の高さ ) であり、ジャンボの 二階席の床ともなると、六 メートル ( 二階の屋根の高さ )以上あります。写真は成田空港のターミナル・ビルの二階から撮ったものですが、ジャンボジェット 機の二階席の高さがこれよりも高いことが分かります。

Raft 緊急時に乗客を速やかに脱出させるには、機体の出入り口から滑り台 ( エスケープ・スライド、Escape  Slide ) で脱出させますが、 乗客を滑り台で脱出させる為には、スチュワー「デス」 自身もその経験がなければ勤まりません。ある時 「デス」 の訓練生の中に高所恐怖症の人がいて、乗員訓練 センター内にある実機の胴体に似せて作られた 六 メートルの高さの滑り台から、足がすくんで、どうしても滑り降りることができませんでした。 彼女は 「デス」 の適性に欠けるとして、訓練中止となり解雇されました。

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コメント

こどもの頃育った、木曽川沿いの岐阜長野県境の恵那郡落合村は、木曽川・落合川に架かる橋は基本的には殆どが吊り橋で路面も木ですが車も通れ殆ど揺れませんでした。
木曽川に架かるのは、自転車OKですが、かなり揺れました。
落合川上流にはひとつ、生活用の本格的?人ひとりがやっと、足元は木の板2枚ほど、主要部以外はワイヤーロープと違う8番線と称するハリガネ使用の吊り橋があり、高さ2-30mくらいでしょうが立って歩くのがやっとでした。

それより、桜並木で風光明媚な落合ダム沿いの道路をはじめ高さ10数メートルの断崖絶壁の通学路も、いまのようにガードレールもなく、これは、危ない方へだんだん引き寄せられる感覚がかなり怖く、たぶんなんとか恐怖症だったと思います。
なんばに建設中のフリーフォールや、バンジージャンプもたぶんチビりそうでダメでしょうね。

九重の吊り橋はニュージーランド人だったら、バンジージャンプの設備も作るかも。世界一狙えませんか?

マウントクックからクイーンズタウンに車で行く途中に、バンジージャンプの橋がありましたが、 六十才以上の人は無料と書いてありました。 高所恐怖症ではない私でしたが、ジャンプは遠慮しました。飛び降りる前に下を流れる川に接水させる、 ロング・ドロップ か、 ショート・ドロップかを選択させていました。

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