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2007年8月 1日 (水)

二つの火の玉

Sauji747 平成8年 (1996年) 11月12日午後6時40分、インド・ニューデリー発、ダーラン経由 サウジアラビア・ジッダ行き サウジアラビア航空763便  ボーイング 747と 、チムケント発 インド・ニューデリー行き カザフスタン航空 1907便  ツポレフ  TU-154型機が、ニューデリー空港の北西 40~50 マイル ( 70~90 キロメートル ) の上空 15、000フィート ( 4,500 メートル ) を飛行中に空中衝突し、サウジアラビア機の乗員 23名、乗客 289名、計 312名全員と、カザフスタン機の乗員10名、乗客 28名、計 38名全員の合計 350名が死亡しました。

インドの航空事故調査委員会によれば、英語力不足から カザフスタン機の パイロットが、インドの管制官の指示を誤解し、高度を下げたことが主な原因と報告していました。

Shoutotsu カザフ機の パイロット:「 今晩は、カザフ 1907便です。高度 180 ( ワンエイトゼロ、18,000フィート)へ降下中、現在高度 230 ( ツウスリーゼロ、23,000フィート ) を通過、デリーから 74マイル。」
管制官:「高度150 ( ワンファイブゼロ、15,000フィート ) まで降下を許可する。」
デリー空港を離陸した サウジアラビア機に対して管制官は:「高度140 (14,000フィート ) までの上昇を許可、しばらく高度 140 ( 14,000フィート ) を維持せよ。
カザフ機:「高度 150 ( 15,000フィート ) に到達、デリー空港から 46 マイル。」
管制官:「了解、高度 150 ( 15,000 ) を維持せよ。12 時方向 ( 真正面 ) に反航する サウジ航空の 747型機あり、距離 14 マイル、視認したら報告せよ。」
カザフの乗組員が距離を聞いてきたので、管制官は現在 14 マイルと答えた。
カザフ機からの返事がなかったので、再び警告した。相手の飛行機は 13 マイル、高度 140 ( 14,000 フィート)。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Tu154 ところが カザフ機は指示された高度 150 ( 15,000 フィート ) から降下していて、14,500 フィートを飛行していました。数秒後に カザフ機は更に 310 フィート ( 90メートル ) 降下しました。その後すぐに両方の飛行機が衝突し焔に包まれて畑に墜落しました。写真はカザフスタン航空のものではなく、ウラジオストック 航空のものですが、事故機と同じ ツポレフ-154 型機です。

原因は カザフ機が高度 150 ( 15,000フィート ) から、無断で140 (14,000フィート)に高度を下げたことでした。

Midair1 附近を飛行中に事故を目撃した アメリカ空軍、貨物機の パイロットによれば、「最初に見たものは 雲の中の オレンジ色の輝きでした。その後 二つの火の玉が地上に落ちて行った。」とのことでした。

国により、また人によってはその国に独特な発音の クセ があり、英語が聞き取りにくいことがありますが、ある時 管制官から  「 ユーアル  ナンベルアン 」 と言われ、聞き返してようやく意味が分かりました。You are number one ( in approach sequence 、あなたは空港への進入順位が一番目です ) と言ったのでした。

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コメント

こんにちは
記事とは関係ないのですが、つぎの写真のおよその位置〈遠くに山脈らしきものが見えます〉と高度の見当、わかりませんでしょうか?
Google Earthで同じ場所を確認したいのです。
パリ→KIX AirFranceだそうです。
 
http://www.flickr.com/photos/pinboke/892056418/

ドゴール空港から関空までは 11時間半かかりますが、出発時刻も不明なうえ、8000 キロものコースでは範囲が広過ぎて分かりません。ウラル山脈はなだらかな山で最高峰は1895 メートルですが、北緯 60度~65 度、東経 59度付近を当たってみてください。

高度についてもロシアの航空管制は メートル制なので、東行きは必然的に 9100、10100,11100,12100 メートルのいずれかですが、想像するところ一番低い高度の、9100 メートルではどうでっしゃろか?。

ありがとうございました。
ここに間違いと思いますがいかがでしょう?

http://www.flickr.com/photos/pinboke/980068381/

それらしい気もしますが、はっきりとしたことは分かりません。しかし探すのが大変でしたでしょう。

北極圏 ( 北緯66.6度 ) に近い場所では、夏でも標高 500 メートル以上の山には雪があるといわれています。

偵察衛星担当者の苦労が、少しくらい分かったような気がしました。
しかし、こんなルートを飛んでいるとは全く知りませんでした(もっと南よりかと・・)ので、たいへん参考になりました。
ありがとうございました。

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