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2007年8月 6日 (月)

空港の門限

Kix_aerial 8月2日から関空に 二本目の滑走路 ( 4000メートル )が完成して、記念行事がおこなわれましたが、いよいよ新千歳に次いで二番目に 24時間運用するのだそうです。貨物機の場合はともかくとして、深夜に到着した旅客機の場合には旅客の足( 移動手段 ) や、食事、休養を取る場所などは、従業員用の コンビニや吉野屋の牛丼以外にどうなるのでしょうか?。

地方空港の門限は遅くても午後八時半なので、大阪空港では午後七時を過ぎると、ロビー内の レストランや店も客足が減少し、そろそろ店仕舞いの用意に掛かります。大阪空港の門限が午後 九時のために、東京行きの便も午後八時半近くの出発機が最後になるので、早めに切り上げるのだそうです。

ところでその昔東京から大阪行きの最終便に乗務した時のこと、機体の トラブルで出発が遅れてしまい、飛行中に懸命に遅れを挽回したものの、着陸態勢で大阪城の横を通過した頃に丁度午後 九時となり、三分の差で管制塔から空港の運用時間切れなので他の空港に行けと言われて、泣く泣く羽田に戻ったことがありました。

Yoru747 伊丹空港に未だ国際線が乗り入れていた頃には、外国機は平気で門限破りをしましたが、彼等に言わせれば、大阪地方裁判所の判決では午後十時以降の着陸を禁止したのであって、門限を午後九時とした旧運輸省航空局の行政指導に従う義務は我々には無いとして、門限破りに課せられた制裁金を払った航空会社は、一社もありませんでした。法律や規則によらない日本独特の行政機関による恣意的な行政指導は、外国会社には通用しませんでした。

Anchorage1_2 その昔、シベリア大陸の上空通過が外国の民間機に解放される以前は、ヨーロッパに行くには アラスカ州の アンカレージ経由で北極回りにするか、あるいは時間が掛かる南回り ヨーロッパ線で、ホンコン、バンコック、カラチなどを経由しました。ある時 経由国の航空会社が大阪空港の門限に遅れたので航空局が文句を言ったところ、日本の鶴丸航空は深夜の 1時、2時に俺の国で離着陸をしているではないか、俺に文句を言うのであれば、鶴丸航空の深夜の離着陸を差し止めるぞと脅かされ、引き下がったそうです。写真はアンカレージ市。

以前から大阪空港を取り巻く 十一の市からなる、大阪空港騒音対策協議会というのがありましたが、市街地にあることから周辺住民から騒音などの公害問題が指摘され、その解決のために平成6年(1994年)の関西国際空港の開港にあわせ、大阪国際空港を廃止する予定でした。

ところが関西国際空港が完成して大阪空港に勤務していた外航会社の従業員が大量に関空に移動したために、周囲の バーや飲み屋は閑古鳥が鳴き、ホテル、マンション、アパートの部屋はひところ ガラ空きとなりました。
 
すると騒音被害の訴えはどこえやら、十一市協議会はこれまで 四千億円以上もの騒音対策費、補償費を国から受け取り、過去何十年もの間 空港廃止を主張していましたが、カネヅルや、従業員の雇用喪失が現実に予想されるようになると、態度を 一変させて空港存続に回ったので、その節操の無さに航空関係者は呆れ果てました。

大阪空港を廃止し、跡地には 一銭の収入も産まない緑化公園を作る計画でした。ところが固定資産税を初め莫大な補助金などの収入源や三万人の雇用を失うことは、周辺自治体にとって死活問題となったので、今までの騒音対策協議会がいつの間にか、より多くの便の就航を求める 大阪空港活性化協議会(?) に変質したのでした。

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コメント

今日は、伊丹へお迎えに行ってました。
東北のお祭りに行った方から、酒をやるから伊丹へコイ・・・・・という理不尽な要望でした。イヤとはいえない相手でしたので、立駐に車を止めて、お酒をもらって帰ってきました。

管制塔もきれいになり、いまさら廃港はないだろうとは思います。が、私個人的には伊丹に国会議事堂を作るしか選択肢はないと思っています。せめて、国土交通省、文化庁や中小企業庁を含めて官庁を立てれば、危機管理分散の観点からよろしいかと思っています。

つくづく、勝手な住民の皆さんだと思います。

結局マスタープランは国交省の役人がつくるのですか?

↓これはスポイラーと思うのですが、ここで使う目的はなにですか?

http://www.flickr.com/photos/pinboke/1036976374/in/set-72157601271649848/

[その、1]
以前首都機能の移転が計画され、東北地方が候補に挙げられましたが、バブルの崩壊で立ち消えになりました。伊丹空港の跡地 (?) に国会議事堂を移転するのは名案ですが、石原慎太郎が激怒することでしょう。

[その、2]
ジェット旅客機では、高速で旋回する場合、エルロン・リバーサル ( Aileron Reversal 、主翼がねじれる現象 ) を避けるため、機種によっては主翼内側にある、ハイスピード・エルロンを動かしたり、エルロンの役目をする フライト・スポイラー ( Spoiler 、抵抗板 ) を立てて機体を傾けます。

写真では フラップが降りていないので高速飛行中ですが、フライト・スポイラーが作動した状態です。着陸に備えて フラップを下ろした場合には、主翼外側後縁の エルロン ( 補助翼 ) も動き、横方向の操縦性を増します。 翼面上に立ち上がる装置には スピ-ド・ブレーキ もありますが、文字通り空中で減速したり、降下率を増大させたり、着陸の接地時には グラウンド・スポイラー ( Ground Spoiler ) として主翼の上面に抵抗板を立てて、揚力を急激に失わせて、機体重量を主車輪に加え、ブレーキの利きを良くします。

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