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2007年10月 4日 (木)

2009年問題

航空界には2009年問題というのがあります。羽田の新滑走路新設と成田の短い滑走路の延長工事が完成し、両空港を中心に離発着回数が一気に増えることから、これに向けた内航・外航機の増便や、航空会社の新規乗り入れに伴う空の競争に、大きな変化が起こると言われているからです。

現在羽田空港には A ラン ( A  Runway、滑走路 )、B ラン、C ラン の三本の滑走路がありますが、このうち B ラン ( 滑走路22 ) は着陸のみに使用し、離陸は川崎の石油 コンビナート上空を通るため、通常は使用できませんでした。ところがある時、総理大臣が訪中 ( 訪韓? ) した際に台風接近の為、南西風が強く吹いたため、他の飛行機は横風制限を超えた為に A ラン、C ラン ( 両方とも滑走路16 ) からの離陸を中止しましたが、VIP 機に限り B ラン ( 滑走路 22 ) からの離陸が許可されて、無事に飛んで行きました。

Hanedarunway 新しい滑走路は図のようにかなり南側にあるので、離陸後の飛行経路が石油 コンビナート上空にかからず、南西方向に安全に離陸できるようになりました。長さが二千五百メートルと中型以上の ジェット機にとって、やや短い感じがするのを否定できませんが、滑走路が 三本から 四本になることによって、空港の発着能力は1.4 倍に増加し、現行の年間 28.5 万回から 40.7 万回まで引き上げられ、国内線については発着枠の増加により現在より飛行機の小型化、便数増加が可能となります。

ところで航空会社の抱える大きな問題は、パイロット、特に経験を積んだ ベテラン機長の不足です。サラリーマンの間では団塊世代の定年退職が問題になっていますが、パイロットの社会でも同じ現象が起きていて、今後 JAL,ANA などの定期航空会社では毎年、合計二百~三百人の機長が定年退職します。

パイロット不足を補う為に、従来は定年退職した パイロットを 六十三才まで、アイベックス、中日本、日本 エアーコミューター、北海道 エアシステム、琉球 エアーコミューターなどの資本提携した子会社で、アルバイトの契約 パイロットとして、毎月十五日間だけ働かせていました。

Jalways しかしそれだけでは機長不足を解消できないので、近いうちに航空会社を六十才で退職させずに、しかも安い給料で雇用継続する計画があるそうです。ところで日本人よりも低い給料で外人 パイロットを雇い、JAL では本体だけでも 百人ちかくの 外人パイロットを雇用しています。海外路線専門の子会社である JAL ウエイズでは、殆どが外人 パイロットで、客室乗務員の半数以上は タイ人 が占めています。日本航空 グループ全体では 三百人もの外人 パイロットが在籍しているといわれています。なおこの会社の飛行機は機体年齢が、他社の二倍以上も古い二十才近いので、乗る際にはご用心を。

全日空では平成十八年に総合商社の双日との共同出資で、パイロット派遣会社 「 クルー・リソーシズ・ワールドワイド、Crew Resources World Wide 」 をハワイに設立しましたが、主に米国人 パイロットを活用し、自社 グループだけでなく、パイロット不足が予想される中国をはじめ、アジア各地の航空会社にも パイロットを派遣するのだそうです。

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コメント

羽田空港に4本目の滑走路が増えたら、本当に能力が1.4倍になるのでしょうか?
現管制官の管制(官製)能力で対応できるのでしょうか?
伊丹空港で起こった着陸滑走路の間違いは、管制官と全日空パイロットのマンネリ化した無線交信で発生していますね。JALのパイロットがちゃんと無線をチェックしていたから、今回は事故が防げましたが、飛行場がもう少し混雑していたら、A滑走路に進入許可されたJAL以外に、B滑走路に着陸した着陸機がA滑走路のをクロスしている状態なら、どうなっていたのでしょうか? どちらかの機と衝突していた可能性が大いにありますね。
カリアナ諸島以来の大惨事になっていたと思います。
管制官、パイロットはちゃんと無線をチェックしてほしいですね。
でもJALのパイロットはGJです。

>本当に1.4倍になるのでしょうか?。
その根拠は知りませんが、一般に使用滑走路が三本から四本になれば、そのようにいわれています。

>現管制官の能力で対応できのでしょうか?。

アメリカの主要空港 、 例えば ロサンゼルス 国際空港 では、ノース ( 北 ) タワーと、サウス ( 南 ) タワーのように マルチ・タワー( Multi Tower、複数の管制塔 )で管制していますが、いずれ羽田もそうなることでしょう。

>管制官、パイロットもちゃんと無線をチェックして欲しいですね。
私もそう思います。 「人間は ミス を犯すものである 」 という考えに立ち、その ミスを誰かが カバーすることで、ミスの被害を無くすという方法があります。

機体には フェイル・セイフ、 ( Fail Safe ) という考え方があり、たとえば操縦翼を複数の油圧で作動させることにより、一つの系統が故障しても安全に運航することができます。

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