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2007年10月23日 (火)

管制官にも責任

Kansairunway 10月20日午後6時10分ごろ、大阪の関西空港で、那覇発関空行き日航2576便が、A滑走路に着陸しようとした際、同滑走路からの離陸を予定していた関空発 バンクーバー行き、 エア・カナダ36便が誤って滑走路に進入し、日航機が着陸を中止する トラブルがありました。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、事故に準じる航空重大 インシデントとして、調査官3人を現地に派遣しました。

たとえば一般社会において、相手から電話で 「 二時 」 に待ち合わせするように言われたのに対して、 「 三時 」 と聞き違えて 「 承知しました三時に行きます 」 と返事をしたと仮定します。この場合相手がなにも言わなかったら、復唱した方は 「 三時 」 が正しいものと理解するはずです。

航空法によれば航空管制官の出す指示は、 「 国土交通 ( 旧運輸 ) 大臣の指示 」 であり、航空管制に従い飛行機を運航する際には、管制官の指示に対して、パイロットはその内容を正しく復唱 ( Read back  ) することにより、聞き違いの ミスを防ぐ方法をとっています。

今回の関空における インシデント ( Incident 、出来事 ) の場合は、管制官の指示を聞き違えた パイロットに 責任がありますが 、自分の出した管制指示が正確に パイロットに伝わったかどうか、パイロットの復唱が正しいかどうかを確認する義務が管制官にあり、それを怠った管制官の側にも 責任がある と私は考えます。

Laxatc 航空管制について管制官がどのように 指示を与え、パイロットがそれをどのように復唱しているのか、交信のやりとりの実際をお聞き下さい。場所はロサンゼルス国際空港で、ターミナルを真ん中に挟んで東西の向きに 二組ずつの平行滑走路がありますが、管制塔も塔内にノース・タワーと サウス・タワー に分かれています。

Insidectwer この空港は平成16年度の離着陸回数が、 65万4千回で世界第 4位 でした。ちなみに同じ年の大阪伊丹空港は、僅か 6万3千回、関空は11万2千回 (  平成17年度 )  でした。

http://homepage3.nifty.com/yoshihito/a-lax_tower.au

関空における今回の件では、エア・カナダの パイロットに誤解を与えるような言葉の遣り取りが事前にありました。

管制塔:JAL 2576 continue approach to runway 24 left . ( 日航2576便は滑走路24 レフトへ、進入を継続せよ。 )

管制塔:Air Canada 36 ,Are you ready ?.( エア・カナダ36便、離陸準備はできたか?)
エア・カナダ機の パイロット:We are ready for take-off. ( 離陸準備完了 )

日航機が着陸のために進入して来ましたが、離陸の滑走路に向かう飛行機に離陸準備が完了したかどうか管制塔が尋ねたので、日航機が着陸する以前に我々を離陸させるつもりであろう、とエア・カナダ機の パイロットが思ったに違いありません。

管制塔:Air Canada 36  hold short of runway 24 left.  ( エア・カナダ36、滑走路24 レフト の手前で待機せよ )
パイロット:Air Canada 36 into position runway 24 left . ( 滑走路 24 レフト の離陸位置につく)

管制塔:--------

その後で日航機が着陸する予定の滑走路上に他機がいるのを見て、

日航機:Confirm , We are  cleared to land  ( 我々は着陸を許可されたことを確認する。)
管制塔:JAL 2576, Clear to land. (JAL 2576便は着陸支障なし。)

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コメント

管制用語は英語であって大変簡略化された英単語のみを使用しているので、英語を母国語としている人間には理解が難しいのでしょうか?
今回は管制官が誤解を与えるような指示をエアカナダ機に与えてますね。
通常、管制官が離陸準備完了か? などと聞くときは、直ちに離陸できるかと聞かれたとパイロットが誤解しても不思議ではないと思います。
このように聞かれたらパイロットは [遅滞無く離陸せよ] Cleared for Take-off without delay
等の指示があると考えるのが普通でしょう。
無駄なことは言わない、聞かないが正解です。

今回のことを一部マスコミでは、position runway 24 Leftが日本では使われない管制用語と報道していましたが、「滑走路上に進入して待機」 Position and Hold をよく使用しているので、管制官が意味を理解していないとは考えられません。管制官には思い込みがあったので、聞き逃しているとしか考えられません。パイロットも同様に 「手前で」 short of を聞き逃しているのでしょう。
ただ、このような状況での着陸復航は過去に結構あったと思います。
私が搭乗した機も2度ほどあり、パイロットは滑走路上に先行機(たぶん着陸機)がいたので、着陸を中止したとアナウンスしていました。
また、航空無線を聞いていたときにも、離陸機が滑走路上に頭を出したので、着陸機に着陸復航を出したのを聞いたことがあります。
そのとき、離陸機に日本語で滑走路に進入したかと聞いた後、無応答だったので、着陸機にxxx system xxx, Go around.と叫んでいました。
管制官は、ALL xxxxxx xx, Hold short of 32 Left と指示を出しており、パイロットも同様に復唱したのですが、何を勘違いしたのか、滑走路に進入したようです。その後、管制官は何事も無かったように、離陸機に離陸許可を出していました。
この件は、新聞記事にはなりませんでしたが、最近はマスコミがうるさいのでこのようなことは結構あると思います。

日本の管制用語では、飛行機に対して滑走路に進入して離陸を待てという場合に、

Taxi into position and hold . の表現を使用しましたが、 ロンドン、シドニー、ホンコンなどの イギリス系の管制方式に基づく空港では、以前から
Line up and wait .  を使用していました。

この表現の方が非英語圏の住民にとっては、誤解を防ぐ上で優れていると思います。最近日本でも管制用語が一部変更されたようですが、この点についてどのように変わったのか、変わらなかったのか知りません。

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