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2008年6月21日 (土)

閉所恐怖症になった私

Keikyuu 前々回に、閉所恐怖症の件を ブログに書きましたが、実は私も閉所恐怖症になったことがありました。

大阪から東京に転勤していたある年の冬、通勤時間帯に横浜駅から京浜急行の品川行き特急電車に乗ると、いつも以上のものすごい着ぶくれ混雑で、ドア付近にいた私は周囲から押されて息苦しくなり、生まれて初めて車内で気分が悪くなりました。

やむなく次の特急停車駅の川崎で降りてしばらく休憩した後に、空いている鈍行電車に乗り出社しましたが、幸いに全日空では会社創立以来 出勤簿や タイムカードというものが存在しないので、地上勤務の場合、遅刻にもならずに済みました。

ところがこの混雑による体験が、私に 「 心的外傷後 ストレス障害 」 つまり P T S D ( Post Traumatic Stress Disorder ) をもたらしたことを、その時は気付きませんでした。

Kyabin 数日後に乗務を終えて東京 ・ 羽田まで、乗務ではなく客席に座っての移動、これを業界用語では 、D H  [  Dead Head、死んだ頭、つまり仕事をする乗組員 ( Duty Crew ) の数に入らない乗務員 ] とか 便乗 ( びんじょう ) と呼ぶ スケジュールでしたが、制服制帽で運航 カバンを持った乗員が客席で移動する際の指定席は、いつも客室の最後部付近です。

そこに座るとなぜか数日前の京浜急行の車内で気分が悪くなった出来事が フラッシュ ・ バック ( Flash Back 、急に記憶が蘇ること ) して、嫌な気分になりました。

先日のように気分が悪くなったらどうしよう、それには飛行機から降りることに限る

Heisho1 チーフパーサ が スチュワー デス に  ドアの レバーを出発の位置にするように アナウンスをしました。全ての ドアが閉まった証拠です、もう飛行機からは降りられない。

間もなく タグ ( Tug 、牽引車 ) に押されて機体が動き出すはずだ。機内に閉じ込められた恐怖感が、ますます強くなりました。

客室内を換気する空気の吹き出し量が少なくなったぞ、 A P U  ( 補助 エンジン ) からの ブリード  ・ エア ( Bleed Air 、吐出空気 ) を エンジン ・  スタートに切り替えた証拠だ。 間もなく エンジン ・ スタートが始まるぞ。

ワナ にはまった状態なので、もう逃げられない。なんだか息苦しくなったので機内の酸素が不足しだしたぞ、飛行機から早く逃げ出さないと、窒息死するかもしれない。

すぐ脱出しよう!。この時機を逃すな!。 密閉状態になったせいか、体が カッカ と暑苦しくなったので上着を脱ぐことにする。

それだけでは飛行機内に閉じ込められた恐怖感は納まらない。体を締め付けるものは何でも嫌になったので、ベルトを緩めたが、依然として ダメだ。今度は靴を脱ぐことにする。飛行機から逃げ出したくなって、もう気が狂いそうだ。

私はそれまで 30 年以上も飛行機に乗り、D H ( 便乗 ) の際に客席で移動した回数は数えきれないほどでしたが、多分 何百回も経験したはずです。なのに、P T S D による ストレス障害で、一時的に閉所恐怖症になってしまいました。

パニック状態になると普段の常識は通用しませんが、ある考えがひらめきました。お前の趣味のひとつは

人間観察

http://www.rose.ne.jp/~ooha/kansatsu.htm

のはずだ、自分が初めて経験した閉所恐怖の症状を、自分なりに観察してみろ。

Myaku 日頃から自分の体が熱つぽい時など体温計が身近にない場合に、手首に指を当てて時計を見ながら、脈拍を自分で測定していましたが、早速 脈拍を計りました。日頃の脈拍が 1 分間に 70 前後なのに、その時は 90 近く もあったので、かなりの緊張ぶりでした。

そこで自問自答しました。何で飛行機の中が怖いのか?。 全ての ドア や窓が密閉されて逃れられないからさ。

ドア を密閉しなければ客室内の気圧を高めるための空気の与圧が効かず、気圧が低い上空に行けば酸素欠乏症になるよ。

セスナ機とは違い、ジェット旅客機の窓が開かないのも当たり前だ、飛行中に窓 ガラスが壊れたら、それこそ緊急降下をしなければならず大変だ。

新幹線は飛行機と同じだ。窓は開かないし、外気とは遮断されているけど、新幹線で閉所恐怖症の話は聞かないよ。

満員電車の車内では息苦しいほど周囲から物理的に圧迫されたが、機内では座席に座っていられるだろう。何で圧迫感を感じるの?。キャビン内は空間が多いよ。

そういわれると説明に困るけど、機内に閉じ込められた気持ちがして逃げ出したくなるんだ。

Iyahon くだらないことを考えるより、座席前の ポケットから イヤホンを取り出して、音楽を聞くことにしよう。

というわけで閉所恐怖症と無駄な戦いをしたり、逃亡しようとはせずに、もっぱらその状況下での自分と自問自答し、自分を観察することにしました。 しばらくすると脈拍も普通になり、機内に閉じ込められた恐怖感もなくなりました。

私の体験からいいますと、パニック症状は永遠に続くのではなく僅か10分以内に納まるものですし、後で読んだ神経内科の本にも、そのように書いてありました。

問題解決の カギは 、パニック状態になった場合に 10 分間をどのように過ごすのかであり、恐れおののき逃げ出すことだけを考えるのか、自分とは別の バーチャル ( 仮想の ) 自分を作り、自分自身を観察するのかが、分かれ道だと思います。

ちなみにそれ以後、閉所恐怖症の発作は起きなくなりましたが、自分に適した方法により、PTSD の後遺症を治すことができたのかもしれません。

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コメント

落語家の桂ざこばさんがそうらしいですね。
MRIなどはダメだそうです。

そうですか?。人は顔だけではわからないものですねー。
それでは閉所恐怖症の人にとっての難関である MRI  について、次回は書くことにします。

はじめまして。
閉所恐怖症と向き合えなくて逃げ出してもう数年になります。
5-6年前に婦人科の病気の疑いでMRIを受けましたが、
その時に、あまりの狭さに驚き、50分の検査のところ17分でジタバタして中止してもらいました。
それ以来、
鈍行や新幹線は大丈夫なのですが、
特にバス(高速やマイクロバス)、
飛行機、
渋滞する車の中、
トイレのついていない快速・急行電車、
緊急停止したいつ動き始めるかわからない電車、
高層階用エレベータ、
ゴンドラ、
USJなどのアトラクション
にとんでもない恐怖を感じるようになりました。

その前までは長時間飛行機にも乗り、出張もこなし、、
そうなってから収入も激減してさらに不安がつのり、
非常によくない状態です^^;

乗り物に乗らない限りは大変明るく元気に希望を持って生きています。

4年前、1年半ほど心療内科で抗不安薬など頂いてみましたが、
むしろ日常がメリハリなくやる気も出ず、
先生に「やる気を出させてください。やる気さえ出ればなんでも克服できる」といい続けましたが、特にそれ以上の治療はされませんでした。

あるとき、昔、落ち込んでいた友達と会ったときに、人が変わったように頑張っていて気づきました。
「人は変わる」
それでその時に飲んでいた薬をいきなり止めて、1週間の不眠のあと、再び昔の私に近いやる気のある私に戻れました。

そうして3年近く経ちますが、、
収入増もまだ見込めない不安のせいか、
相変わらず、閉所恐怖だけは治りません。
突如襲われます。
治ったらどんなに行動範囲が広がるだろうかと思うのですが、、
同時に過敏性大腸症候群にもなっているようで、
不安を感じるとトイレに行きたくなります。
全部は目を通していませんが、
こちらのブログにかかれていることは具体的で参考になります。
有難うございます。

神経を使う現役の頃はなんともなかったのに、退職後しばらくすると、私も過敏性大腸症候群になりました。

閉所恐怖症の方はあれ以来経験しませんが、腹が張る ガス型 の過敏性大腸症候群は今も治りません。

大腸の内視鏡検査を受けましたが異常無く、原因は精神的 ストレスだそうですが、来年金婚式を迎える女房から、 いつも ストレスを噛まされているせいかも知れません。

そうですか、そうなんですよね。。
すべて気のせいなんですよね、きっと。

神経を使うところが間違っているのか、、
必死で仕事に向かうことにします!
とりあえず、いつか治ることを信じるか
待つしかなさそうです。

有難うございます。

私は昨年末にめまいがしたため関東脳神経外科で
2010年1月4日MRI検査をしました。検査結果は問題なく良かったですが・・・・その月の月末九州へ旅行に行くため飛行機に乗ったところ機体が動き始めたとたん心臓の鼓動が激しくなり不安と恐怖感に襲われ、閉じ込められた気持ちになって飛行機から降りたい衝動に駆られました。自分の気持ちを押さえつけながらやっとの思いで、鹿児島空港に着きました。この状況を旅行から帰り次第医師に話すと閉所恐怖症と言われ当病院とは関係ないので精神科へ行くように勧めれれ現在薬を服用しています。昨年ヨーロッパ等、海外へ3回旅行していますが飛行機は大好きです。後日、新聞でMRIを検査を受ける場合として検査中に、何らかの違和感を覚えたら我慢せずに、すぐに検査担当者にマイクが付いているので伝えること、もしくは緊急用のブザーがあるとの記載がありました。私には事前にこの説明がなく閉所恐怖症になりました。私のように飛行機旅行を奪われないよう是非MRIを受けるときは十分注意をしてください。

私と同じ状況の人がやはりいらっしゃるんですね。2003年から悩まされております。乗り換えのある外国の地方都市にすんでいるので、里帰りのときは大型機を選択するのですが、その選択肢の少ないこと!値段も格安まで行かないし、いいこと1つもありません。新幹線もダメでストレスだらけの里帰りです。空港バスも乗れないし、たまに成田エキスプレスもだめなのでローカルで行ったり。 10分待てばおさまるという説もわかる気がします。でもあの数分が恐怖なんですよね。私の対策は音楽、大量の雑誌・マンガです。おかげで手荷物がすごいことに。
自分もいつか克服できますように。こればかりは目に見えない障害で辛いものですね。

私の場合はもっと重症です。1時間の新幹線が耐えらえないのです。以前は12時間の飛行機も平気だったのですが・・・。
もう好きな旅行も行けない状況です。神様、助けて。

私はなんとナポリの地下、昔の地下水道跡の狭い空間を観光で歩いているときに閉所恐怖症の症状が襲ってきました。それまで自分がそんな状態になるとは全く思ってもみませんでした。。。地下の水道跡は、確か幅が60~70センチ位、左右の壁が迫っていて、しかも大昔の人が手で掘っていったものなので壁が平らでなく湾曲したりしており、そして高さは5Mほど(?暗くて見えませんでした)あるのですが、唯一の明かりは2人に一つもたされたロウソクの火のみ。。。。時は冬だったので、着ぶくれした私達の上着が壁にすれる音、前も後ろも一列で歩く観光客でいっぱい、ロウソクの火が酸素を燃やして酸欠になりそうな恐怖。。。そして角を曲がっても曲がっても永遠に続く壁の恐怖。。。。発狂しそうなのを前の人と距離をとったりしながらなんとか押えましたが、いまだに思い出すだけで、窒息しそうな恐怖です。
あれ以来、飛行機は人に囲まれた真ん中の席はぜったいに駄目。息が苦しくなります。狭すぎるエレベーターも恐怖。普通のサイズのエレベーターは万が一止まったら、とか恐ろしいことを考えないようにしていれば大丈夫。しかし9.11や東北大地震の被災者の方々のように、もしがれきに埋められたら、、、2分ともたずに発狂しそうで恐ろしくてなりません。

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