閉所恐怖症の人口比率
これまで述べた閉所恐怖症の人の人口に占める割合について、いろいろ調べたものの、はっきりした数字は見当たりませんでした。
医学界ではそれまでの レントゲンを使用した CT ( Computed Tomography 、断層撮影 ) に替わり、1980年代には 、 M R I ( Magnetic Resonance Imaging 、磁気共鳴画像 )が開発、実用化されました。
それにより 通常の胸部 レントゲン検査時の 数百倍もの 「放射線被ばく 」 を受ける CT 検査に比べて、患者の健康には全く無害な磁気の利用により、体を輪切りにして、内部を見ることができるようになりました。
私は一度だけ CT 検査を受けたことがありましたが、装置は単なる ドーナッツ 状のもので、ベッドに寝たままで ドーナッツ の輪をくぐり抜ける仕組みでしたので、閉所恐怖を感じることもなく、しかもうるさい大きな音もぜずに短時間で検査が済みました。
これに比べて MRI の場合は CTとは大きく異なり、検査装置は細長い筒 ( チューブ ) 状なのです。検査を受けるには写真のような狭い筒に、頭から入れられて画像を撮るわけですが、顔のすぐ上が装置なので目を覆い、かなり大きな音 ( ガー、60~80ホーン ) がするので耳栓を着けます。時間としては検査部位により異なりますが、普通は約15分~40分程度です。
ここで問題になるのが閉所恐怖症の人の場合です。普通の人であれば狭い穴の中に入れられて うるさい音を感じるだけですが、閉所恐怖症の人は恐怖心から途中で検査を中断する場合もあるので、事前の問診で閉所恐怖症と判明した人については、検査を拒否する医療機関もあります。
しかし別の医療機関では閉所恐怖症の人に対しては、必要に応じて精神安定剤の点滴投与をして、眠っている間に検査をするところもあります。なお MRI の検査は心臓に ペースメーカーを入れたり、脳の動脈瘤を クリップで止める治療をした人、人工関節を入れた人などは検査を受けられません。
ところで最近は MRI に関する技術の発達により、閉所恐怖症患者にも朗報となる筒状ではない、開放式の オープン MRI ( Open M R I ) が開発されたので、従来は恐怖心からできなかった閉所恐怖症の人でも、 MRI が可能になりました。
では閉所恐怖症 ( 疑いのある人を含む ) の人の割合は、 MRI の検査現場ではどの程度いるのでしようか?。ある統計によると 5~10 パーセントといわれているので、一応この数字を挙げておきます。
サンプリング ( Sampling 、統計的見本抽出 ) についての ひとつの考え方として、ある検査 グループについて閉所恐怖症 ( 疑いのある者を含む ) 患者が 5~10 パーセント いるのであれば、類似の特性を持つ グループ ( つまり国民全体 ) としても、同じ程度の値になることが予想されます。
もしこの考えが正しければ、国内には 650万人~1,300万人の閉所恐怖症の人がいることになりますが、この人口比率は 私を含めて船酔いを し易い人の数と同じです。
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コメント
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パニック障害患者です。
MRIもとりました。生きた心地しません。
鼻先まで迫る壁 音。。。。。
どうにかして気を失いたかった。
出てきたら 脂汗かいていました。。。
投稿: maiamipapa | 2008年7月 5日 (土) 17時00分
さいわいに私はこれまで MR I の検査を受けたことがありませんが、閉所恐怖症の恐怖を 一度だけ味わった者として、その機会がもしあれば、どうなるか分かりません。
投稿: Y.O. | 2008年7月 5日 (土) 21時12分
私はMRIに入ってすごく恐怖を感じた瞬間、パニック障害を発症してしまいました。MRIに入らなければ、今頃普通の生活ができたのにと、とても悔やまれます。MRIに入ってパニック障害の感覚を覚えてしまってからは、閉そく感のある場所がほとんど苦手になってしまいました。電車にも乗れません。早く筒型のMRIが無くなることを祈ります。
投稿: あに | 2010年9月25日 (土) 09時47分