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2008年11月 8日 (土)

飛行船の巻

Balship 空気よりも軽い ( Lighter  than  Air  ) 乗り物の分類に含まれるものには、気球以外に、飛行船 ( Air Ship )もあります。昭和 32年 (1957年 ) から約 二年間 アメリカ海軍飛行学校に留学しましたが、その当時の アメリカ海軍には飛行船もありました。

写真の船の右舷にある見慣れぬものは飛行船の係留塔で、飛行船の船体には骨組が見えることから、後述する硬式飛行船です。

当時、我々が単発の練習機 (  S N J 、Texan 、テキサス人 ) で訓練する飛行場にもたまに飛来して、 タッチ・アンド・ゴー ( Touch and Go ) と呼ばれる離着陸の訓練をしていましたが、人が乗る ゴンドラ ( 操縦室 )の下部には車輪がついていて、船首から垂らした係留用の ロープ を地上で待ち受ける人が捕らえて係留塔に係留していました。

飛行船の欠点は地上に係留する際に多くの人手が必要なこと、風に弱いために長期停留の場合には、大きな格納庫に入れる必要がありました。飛行船には上の写真のように、金属製の骨組みの上を薄い金属板 ( ジュラルミン )で全体を覆い、内部に複数の ガス気嚢を収納する硬式 ( Rigid ) 飛行船と、ゴム製で骨組がない軟式 ( Non-Rigid )飛行船の二種類があります。

さらに重い  ゴンドラを取り付ける部分を金属で補強した 半硬式 ( Semi-rigid )飛行船もありましたが、アメリカ海軍では飛行船 ( Air Ship )のことを、「 Ship 」 の語感がもたらす  「 まぎらわしさ 」 を避けるために、一般的に、バルーン ( 気球、Balloon ) と呼んでいました。

Wingmark また飛行船の パイロットのことを バルーン・パイロットと呼び、彼等が胸に付ける ウイング・マーク ( パイロット記章 ) は片羽根の デザインでした。

それでは アメリカ海軍では飛行船を何に使ったのかといえば、太平洋戦争中に兵士や軍需物資を運ぶ輸送船の船団を、潜水艦の攻撃から守るための護衛でした。空気よりも軽いという性能を生かして、長時間、時には数日間も船と同じ速度で移動し、船団の上空付近に留まり警戒することができるからでした。

アメリカ海軍では太平洋戦争中に 168 隻の飛行船を保有していましたが、出撃回数: 55,900回、総飛行時間: 55万時間、護衛した艦船: 約89,000隻 飛行船の損失は ゼロ、撃沈した潜水艦の数も ゼロ でした。

飛行船は ヘリコプターのように下降気流を生じない、 エンジンの騒音が少なく、空中で 一箇所に停止する ( ホバリング、Hovering ) もできるなどの利点から、アメリカでは今でも  フットボールの試合などを上空から テレビ撮影するのに飛行船を使うことがあります。

ところで太平洋戦争末期の昭和19年 ( 1944年 )まで東京都内に住んでいた私は、防空演習になると都内の各所から、陸軍の気球部隊が上げる阻塞気球 ( そさいききゅう ) という金魚の形をした気球を見ることができました。

Kikyuu1

高さはせいぜい数百 メートル程度でしたが、低高度で侵入し攻撃する敵機にとって飛行の邪魔をするためのものでしたが、アメリカの高性能の B-29 爆撃機に対しても効果があると思っていたのでした。

Sanyo 昭和40年代になると大きな飛行船に絵や文字を描き、低速で飛行しながら広告宣伝することが流行りましたが、ある先輩も退職後に飛行船の パイロットになったものの、企業としては採算が採れずに、やがてその会社は事業から撤退してしまいました。写真は軟式飛行船。

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コメント

飛行船の遊覧飛行なら乗ってみたいと思います。
4月に家の上空に飛来した飛行船をステレオ写真に撮影しました。

赤青メガネ用
http://www.flickr.com/photos/pinboke/2419020676/
平行法
http://www.flickr.com/photos/pinboke/2418203335/

私は飛行船や気球に乗ったことはありませんが、乗った人から聞いた話によると、低高度を飛行するために フラフラ揺れて、想像していたほど、乗り心地は良くなかったとのことでした。

写真の飛行船は小さいようですが、小型軟式飛行船のことを、ブリンプ ( Blimp ) ともいいます。

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