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2009年3月24日 (火)

ポーポイズ ( いるか )

成田空港の A 滑走路で 3 月 23 日朝、米国の貨物機 フェデラル・エクスプレス ( フェデックス ) 航空 80 便 ( MD11型機 )が着陸に失敗して炎上し、乗員 2 人が死亡した事故が起きましたが、事故原因として低高度における ウインド・シアー( Wind Shear 、風向・風速の急変 ) の存在が指摘されています。

http://www.youtube.com/watch?v=zOnL2VpORps

事故原因は飛行機の尾部に装備していて、破壊や火災に強い容器に入った飛行記録計 ( DFDR 、Digital Flight Data Recorder ) や操縦室内の会話・交信録音器 ( CVR 、 Cockpit Voice Recorder ) を回収し、その解析により後日判明すると思います。事故原因の件はさておき、問題は ハード・ランディング ( 衝撃が大きい着陸 ) が起きた後の操作についてです。

Porpoise_2 外洋を船で航海したことのある人は、 イルカが船と競争するように泳ぎ、時には水上に ジャンプ しながら泳ぐ姿を見たと思いますが、着陸操作の失敗から飛行機が接地後に何度も ジャンプするのを、業界用語で ポーポイズ ( Porpoise 、 英語の発音は ポーポス、イルカ ) といいます。

ところで ジェット旅客機が着陸する際には滑走路の末端を、主車輪が高度 15 メートルで通過しますが、その際の スピードは、一般に 失速する速度の約 1.2 倍です。

つまり安全に飛べる、ぎりぎりの低速状態になるわけです。

ポーポイズが起きると どうなるかといえば、 速度の エネルギー 位置の エネルギー ( 換言すれば高度の エレルギー、今回の事故では  3~5 メートルの高度に ジャンプ ) に変換され、写真にある機体の全長 61 メートルから判断しても 、約 150 メートルの距離を跳躍するために、飛行速度が減少し、危険な失速速度に近づきます

しかも飛行機の ジャンプは 1 回目よりも 2 回目と高く跳ね上がり益々減速するので、ついには失速状態になり、多くの場合は今回のように失速事故につながります。

三段跳びに例えれば、写真の1番の地点に接地 ( ホップ ) 、その後 2 番の手前に接地 ( ステップ ) した後に、最後の ジャンプ を始めたところです。

Hop

写真にはありませんが、飛行機は二度目のジャンプをした後には失速状態になり、機首から滑走路に突っ込み、しかも低高度で制御不能状態になり、機体が左に大きく傾いたために、左の主翼が 滑走路に接地したと同時に火災になり、180 度横転しながら炎上しました。

Jumpf

それでは、 ポーポイズが起きた状態から回復するには、どうすれば良いのでしょうか?。

その答えは直ちに エンジンに離陸時の最大のパワーを加えて着陸をやり直すのが最も安全な方法ですが、接地に際して通常は エンジン出力を アイドル 状態に絞るため、そこから離陸出力を出すには、ジェット・エンジンの特性として 5~10 秒の時間の遅れがあり、プロペラ機に比べて推力がすぐには得られないことがあります。

事故の ビデオを見ながら感じたことは、旅客機でなかったことが不幸中の幸いであり、 300 個以上もの棺桶が地上に並ぶところでした。

最も不満なのは A 滑走路の外側の空き地に事故機の残骸があったにもかかわらず、事故の現場検証を優先させ、国際線用の大型 ジェット機が首都の空港を 24 時間以上も使用できなかったことでした。

成田空港は開港以来 30 年も経つというのに、大型 ジェット機用の滑走路が僅か 1 本しかありませんが、その理由を知りたい人は、下記をクリック。

http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-6b0e.html

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