人権と社会の安全
1 : テンカン がなぜ差別用語なのか ?
4 月18 日には栃木県鹿沼市で、登校中の市立北押原小学校の児童たちの列に クレーン車が突っ込み、児童 6 人が死亡した いたましい事故が起きた。
自動車運転過失致死の疑いで調べを受けている運転手の柴田将人容疑者 (26) は、3年前の 2008 年 4 月 9 日にも登校中の小学 5 年の男児を乗用車ではね、重傷を負わせ禁錮 1 年 4 ヶ月執行猶予 4 年の判決を受け、現在も執行猶予期間中であった。
しかも最初の事故も今回同様に朝の登校時間帯に起こしたが、事故原因について宇都宮地裁の判決では、本人の供述に従い 「 仕事疲れから眠気をもよおした 」 としているが、実際は子供の頃からの持病の テンカンの発作であった可能性が極めて高い。
この事件の報道について NHK を初めとする マスコミ の多くは、4 月 23 日まで テンカンという言葉を使用せず、 発作 により意識を失う症状 などと言い換えをして報道したが、糖尿病予備軍の私からすれば、低血糖による糖尿病性 昏睡とも受け取られ、発作の意味が不明であった。
テンカンを テンカン と言って、なぜいけないのか理解に苦しむ。 現に 社団法人 テンカン協会 という団体が存在し、全国 47 都道府県に テンカン協会の支部が存在して活動している。
2 : テンカン患者が運転する車
昔から床屋でも テンカン の持病を持つ者はなれなかったが、2002 年 6 月の道交法改正により テンカン患者でも、
(1)発作が再発するおそれがない。
(2)再発しても意識障害や運動障害がもたらされない。
(3)発作が睡眠中に限り再発する。
などの場合は運転免許を取得できるようになった。
しかしこれらはあくまでも本人の申告を基本にしていることであり、 最初から持病を申告しなければ 、柴田容疑者のように 大型特殊と クレーン運転士の免許が無条件で取得可能であり、発作抑制薬を飲み忘れて いつ テンカン発作が起きるとも分からぬ危険な大型車が、道路を走り回ることになった。
3 : 精神病者が起こした飛行機事故
危ないのは クレーン車だけではない。昭和 57 年 ( 1982 年 ) に福岡発 羽田行きの日本航空の DC - 8 型機が、着陸直前に 500 メートル手前の東京湾に機首から突込み、 乗客 24 名が死亡 ・ 乗員乗客 95 名が重傷 ・ 54 名が軽傷を負う事故が起きたが、原因は精神分裂病の機長が取った異常な操縦操作によるものであった。
家庭や職場でも彼の異常な言動 ・ 行動に気付いた人がいたが、主治医は 「 うつ病 」 の薬を処方していた。さらに彼の出身地では、近隣の者からは 精神病の家系 として知られていて、近親者の 1 人は精神病院に長年入院し、別の 1 人は精神病から自殺した者もいた。
企業が社員の採用に当たり プライバシー 保護 ・ 人権擁護の観点から、興信所などによる家庭調査がおこなわれなくなったことも、事故を未然に防げなかった一因であった。
人権擁護と社会の安全との両立は むずかしいことでもあるが、現状では 社会の安全 よりも、個人の 人権擁護を優先させることを 、国民の多くが求めている。---たとえ同種の事故が今後も起きる危険性があるとしても---。