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2012年3月30日 (金)

安かろう危なかろう ?

関西空港を拠点とする格安航空会社 ( LCC ) ピーチ ・ アビエーションは 29 日、長崎空港で 28 日に発生した機体 トラブルの影響で、30 日の関西-長崎線 2 便と関西-福岡線 4 便の計 6 便を欠航すると発表した。

 この 2 路線は 28 日に 3 便、29 日も 6 便の欠航が決まっており、影響が拡大している。同社は全 3 機の機体を効率的に使い経費を削減。トラブルで 1 機が使えず、機材繰りができなくなった。 ピーチによると、修復部品の調達に時間がかかるという。

ところで機体の トラブルとは、客室乗務員が ドアを開く際に、操作の ミスにより、緊急脱出の際に使用するはずの スライド ( 滑り台 ) を、展張してしまったことが原因であった。

Cathaypfc_2

上の写真は 2010 年 4 月に、乗客 300 人を乗せた キャセイ航空の エアバス 330 が エンジントラブルで 緊急着陸した際の、緊急脱出用 スライド ( 滑り台 ) の展張状況である。

ところで出発の際に飛行機の全ての ドアが閉じられると、ある航空会社では チーフ  ・ パーサーが以下の業務連絡の アナウンスを客室乗務員におこなう。

Cabine attendant ( check )doors for departure

その意味は、

( 客室乗務員は、 ドア・レバーが出発時の状態( 下図では Armed 、アームドの位置 ) にあること を確認せよ。 )

ボーイング社 ・ エアバス社などの飛行機 メーカー や、機種により ドアの操作方法が異なるものの、緊急時に ドアの脱出操作をすると、 ドアの内側に格納してある スライド ( 滑り台 ) が自動的に外側に繰り出し炭酸 ガスで膨張し、脱出用の滑り台が形成される。

Doorselect_2

この一連の動きを自動でするためには ドアの セレクター  ・ レバー ( Selector lever ) を  Armed 、アームド 」 の位置に、別の メーカーの機体では 「 Engaged、エンゲイジド 」 の位置に セットしておく必要がある 。

前述の アナウンスは、この セレクター ・ レバー の位置を確認せよということであった。

ちなみに目的地に到着すると乗客が降機する出入り口の ドアを開く前に、前述した  ドア ・ セレクター  ・ レバーを今度は 「 Disarmed 、ディス アームド 」、あるいは 「Disengaged、ディス エンゲイジド 」 の 位置に移動しなければならない

これを忘れて ドアを開けると スライドが自動的に膨らみ、その機体は スライド ( 滑り台 ) の整備が完了するまで、当分の間 乗客を乗せることはできない。

Mechanism_2

上の写真は前述した アームド / ディスアームド、別の用語では エンゲイジド / ディス  エンゲイジド を説明するためのものであるが、機体の出入り口の床面には留め金 ( 図の黄色の ○印の中 ) があり、ドア 内側に格納されている スライド ( 滑り台 ) の機体端にある ガート ・ バー (Girt bar ) は ドアの セレクター  ・ レバーの操作により電気的に、別の機体では人力により機械的に、 前述の留め金に固定され、または解放される

出発に際して ドア ・  セレクター レバー を アームド ( 自動展張 ) 位置にすると 、ガート ・ バーが床の留め金に固定されるため、ドアを開けば スライド ( 滑り台 ) が自動的に展張 ・ 膨張し 緊急脱出に使用可能となる。

ディス アームド位置にすると、バーは留め金から解放されるため、ドアを開いても スライドは展張しない。

日本の格安航空会社が 3 月から就航したばかりだが、緊急時に乗客の避難誘導に当たるべき客室乗務員の知識不足 ・ 訓練不足から、 安かろう危なかろう? にならないように、安全第一で客室乗務員の訓練に当たるべきである。

私は格安航空会社の飛行機に乗るつもりは無いが、将来乗る人は旅行保険に しっかり加入しておくことを奨める。万一の場合の補償金額が  恐らく 「格安」 だろうから

ちなみに客室乗務員の操作 ミスにより スライド ( 滑り台 ) が展張し、飛行機が飛べなくなった例は、私が知る限り 日本では 2 度目であるが 、北米では 件数は不明だが、この操作 ミスにより 毎年 2,000 万 ドル ( 16 億円 ) の損害を航空会社に与えている

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