朝寝坊した航空管制官
高松空港で 12 月 17 日夕、降下中の、日航 1411 便( 乗客乗員 81 人 ) が午後 6 時 23 分に着陸の許可を出す高松空港の管制官と連絡を取ろうとしたが、応答がなかった。そのため日航機と後続の全日空 537 便 ( 同 156 人 ) は空中で待機せざるを得なかった。
航空機が管制官と 10 分間、無線交信できなくなった トラブルで、国土交通省は21日、交信担当の 40 歳代の男性管制官が居眠りをしていたと発表した。 60歳代の男性管制官は、ターミナルビルで夕食を買いに出かけるなどで、管制塔を 1 時間も不在にしていた。同省は「緊張感のない勤務により航空機の遅延を発生させてしまった。深くおわびしたい」 と陳謝した。
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今から 40 年近く前のこと 、クリスマス当日に朝一番の飛行機で大阪伊丹空港から九州の大分空港に飛ぶことになった。飛行機が岩国を過ぎて福岡管制部の指示を受けて降下中に天気が良く、国東半島東端にある大分空港が見えて来た。そこで
We have the airport in sight, cancel I F R this time ( 空港が見えたので計器飛行方式を キャンセルする ) と福岡管制部に言い大分管制塔の無線周波数に切り替えた。ところが何度呼んでも管制塔からは応答がなかったので、今度は社内無線で大分空港にある ANA の事務所を呼び、管制塔と連絡がとれないので航務課で調べるように伝えた。右側が新しい管制塔。
すると 航空管制官が未だ出勤していない 旨の連絡があったが、当時大分空港は朝 8 時から運用開始でありその時刻を 30 分過ぎても管制官不在のために、空港に着陸できないとは不便な話である。 170 名の乗客を乗せて代替空港の福岡に向かうのも乗客にとって非常に迷惑なことなので、
公共の利益が違法性を阻却 (そきゃく、しりぞける )すると判断して、管制官不在のまま機長の権限と責任で 大分空港に着陸することに決めた。
車輌や飛行機などの障害物がないことを確認するために滑走路上を ロウ パス ( Low pass 、低空飛行 ) して確認し、その後に着陸した。
次の東京 ・ 羽田空港行きには 50 分の余裕があったので、事務所で気象などを調べていると管制塔から電話が掛かってきた。てっきり出勤が遅れ迷惑を掛けたことへの管制官からの謝罪かと思ったら、さにあらず
「貴方は誰の許可を受けて着陸したのか?。管制官の着陸許可を受けずに着陸したのは 航空法違反だから報告する 」 という言葉であった。それを聞いた私は航空法違反の件は承知のうえだが、相手の態度には頭にきたので早速反論した。
「 大分空港の運用時間は朝 8 時からのはずだ、それを 40 分も遅れた事に対して ノータム ( NOTAM 、 Notice To Air Men 、パイロットに対する航路情報 ) を出して全国の空港に連絡したのか?。貴方が航空法違反で報告するなら勝手にどうぞ。私は キャプテン リポート ( Captain Report 、機長報告 ) を会社経由で提出して運輸大臣に報告するから。
それだけではない、もし私が福岡空港に目的地を変更したらどうなると思うのか?。管制官の朝寝坊が原因だと知ったならば マスコミは黙っていないよ。」
その後大分から羽田空港に着陸し会社の事務室に行くと、私あての メッセージが大分の管制官から届いていた。 「 今回の件は失礼しました。 こちらでは無かったことしますので、よろしく 」
時代は高度経済成長期の頃で クリスマス ・ イブに仲間と一緒に飲み過ぎたのではないかと想像するが、クリスマスになるとこの件を思い出す。