B-787の トラブル
パイロットにとって最も恐ろしいものは、エンジンの故障よりも 飛行中の機内の火災である 。密閉された機内で煙が発生すれば、窒息死することは明らかであり、有毒 ガスの煙を 4 ~ 5 数回吸うだけで行動の自由が失われるといわれている。
機内に立ちこめる煙を排煙するには高空では酸素が少なく乗客 ・ 乗員にとって危険なので、なるべく速やかに 14,000 フィート ( 富士山頂に近い高度 ) 以下の安全な高度まで、緊急降下することが必要である。
[ 1 : 機内で全員が窒息死と焼死 ]
1890 年に サウジアラビア航空で飛行中に機内で火災が発生し、緊急着陸をしたが乗客 287 名、乗員 14 名の合計 301 名が 窒息死と焼死する事故があった 。詳しくは下記を参考にされたし。
http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_773e.html
今回の B-787 の トラブルの原因については現時点では不明であり、新造機の就航直後には予期せぬ故障が出るものだが、度重なる トラブルが電気系統や 電池に起因するということは、設計上の欠陥、あるいは日本製電池の性能 ・ 品質に原因の可能性が推測される。
[ 2 : 緊急降下 ]
ところで航空会社の機長は 6 ヶ月毎に、フライト ・ シミュレーターで操縦技量の試験を受けるが、その項目の中に 緊急降下 ( Emergency Descent ) が必ずある。
チェッカー から与えられる想定の中には 与圧装置の故障、操縦室内の電気系統の発煙などがあるが、その場合機長が操縦席ですることの 一例として、
1 : ただちに酸素 マスクをかぶると共に、酸素供給弁が 100 パーセントの位置にあることを確認する。
2 : 航空管制機関に緊急事態を宣言すると共に、14,00 フィート ( 4,000 メートル ) 以下の安全な高度へできるだけ速く緊急降下をおこなう。
3 : 降下中に キャビン ・ アナウンスをして乗客に状況を知らせ、乗客用酸素 マスクを客席の上に落下させて使用させる。
4 : 最寄りの空港に緊急着陸する
5 : 降下中に チェックリストに従い、操作を確認する。
[ 3 : L-4 ドア の件 ]
二枚目の写真を見ていただこう。片側には緊急脱出時に ドア を開けると、圧縮空気で膨らむ 4 個の エスケイプ ・ スライド ( Escape Slide、ゴム製の滑り台 ) が展張しているのが見えるが、反対側には 3 個しか見えない。
つまり L-4 ( 機体左側の前から 4 番目、787 型機の場合は最後部 ) の ドアだけが閉じたままであり、従って エスケイプ ・ スライドも使用されなかった。
緊急脱出時に機体外部に 火災が発生していないのに なぜ L-4 ドア だけが閉じたままなのか非常に気になるところである。飛行機の 非常用脱出口の数 については下記を参照されたい。