外国の船や飛行機に乗るときの心構え
2014 年 4 月 16 日午前 8 時 58 分頃、清海鎮 ( チョンヘジン ) 海運所属の大型旅客船 「 セウォル( 歳月、 SEWOL ) 」 が、全羅南道珍島郡の観梅島 ( クヮンメド ) 沖海上で転覆し、沈没し 270 名近くの行方不明者が出た。
事故が発生した セウォル号は、修学旅行中の安山市の檀園高等学校生徒 325 人と教員 14 人の他、一般客 107 人、乗務員 29 人の計 475 名が乗船し、車両 150 台余りが積載されていた。
事故が起きて乗客の避難誘導が必要な場合に、外国船や外国機の乗組員はあてにならず、 彼らは乗客よりも先に脱出するものと思うべし。
今回も船長はいちはやく乗客と共に船を脱出し、病院では自分は一般船員だと称し、濡れた紙幣を乾かしていた。外国乗組員の 職業意識の欠如、モラルの無さについては 、 下記のブログを参照のこと。
http://good-old-days.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-618b.html
今回の フェリーの転覆事故の原因として挙げられているのが、 急激な旋回時における船の傾斜がもたらした積載貨物や コンテナー ・ 車などの移動 ( 荷くずれ ) による横転、浸水による沈没である。
その昔 学生時代 ( 1955 年 ) に練習船に乗り遠洋航海に行った経験からすれば、船が航行中に舵をとる ( 沈没した韓国の フェリーの場合は右に舵をとる ) と最初は舵面に働く水の抵抗により船体は右側 ( つまり 旋回の内側 ) に傾くが、その後は遠心力や船の復原力により今度は左側 ( つまり 旋回の外側 ) に大きく傾く。
この外側への傾斜は船の スピードが大きいほど大きく ・ 舵面の角度が大きいほど大きく傾き、また船の重心位置が高いほど大きくなる。さらにいえば旋回の内側への傾斜から外側への傾斜に切り替わった時が 一時的に大きな傾斜をもたらす 。
それゆえ復原性能が劣る船では大角度の旋回をしない、旋回の際には速力を落とすなどの注意が必要となる。
当該 フェリーは鹿児島--沖縄航路に就航していた マルエー ラインの 「 フエリー なみのうえ 」 18 歳の老嬢 ( 船は女性名詞 ) を 2012 年に韓国の会社が購入し、その際、5 階建てだった階数に 6 階部分を増設するなどの改造が施された 。
上記の絵図は船の重心が高くなると復原性が悪くなることを示したもので、G が重心位置、B が浮心 ( センター ・ オブ ・ ボイアンシィ、Center of Buoyancy ) .。 船が図のように右に傾くと重心は移動しないが、浮心は B から新しい位置 B1 に移動する。
水線上で G とZ との距離 ( 緑色の線 ) を復原 てこ ( 船の場合は復元ではなく、復原を使用、ライティング ・ アーム、Righting Arm という ) これに船の重さを掛けたものが復原 モーメントとなる。
もし重心位置が G より 高い G1 の位置 にあるとすれば、前述した 「 復原てこ 」 の長さは、G 1 Z 1 の 赤線の長さとなり 、復原 モーメントは小さくなり、復原性能は悪くなる 。
このフェリーの乗客定員は 804 人から 921 人に 117 人増やし、総トン数も新造当時から 800 トン以上増えて 6,825 トン にそれぞれ増加した。
清海鎮海運は 「 韓国最大の クルーズ船 」 と幅広く宣伝したが、重心位置が高くなり、復原性能がかなり悪くなっていたのに違いない。
さらに驚いたことに、船に搭載していた 40 個もの 「 救命いかだ 」 が、沈むまで 2 時間も余裕があったのに、ひとつも使用されずにいたことであった 。船員には脱出命令を出したものの、乗客には船内にとどまるように指示し、緊急事態に対処できず乗客を見殺しにした。
船長をはじめとする幹部士官の無能さと、職務上の義務違反の表れであった。
« 外国人遍路差別の話に、飛びつく マスコミ | トップページ | 泣き女について »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
マルエーライン(改造前)とセウォル(改造後)を外見上比較して見られる画像をヤフ
ー画像検索で見つけましたので拝借してお見せします、管理人様の転覆原理図理解をし
やすくする事が出来れば幸いです。
http://msp.c.yimg.jp/yjimage?
q=F2bqSz4XyLEC3Xf.wI_vfS2WrRefeKm_X_pshWRupMePWHyW0R7.JstCxqWk2fjbbQPhz5.p71a8z
E89ZTJBRVURxnpHpIF6tlFdEOXVA8ELeOBHs9z2jfI9mSjNR6zZ20o-
&sig=12tr26isk&x=170&y=163
投稿: 森本 | 2014年4月20日 (日) 17時24分