精神病の パイロット
2015 年 3 月 24 日に西 ・ バルセロナから独 ・ デュッセルドルフに向けて飛行していた ドイツの格安航空会社 ( LCC ) ・ ジャーマンウイングス の定期便 エアバス A 320 型機が フランス南東部の山中に墜落し 150 名が死亡した。
ドイツの検察当局は 3 月 27 日、アンドレアス ・ ルビッツ副操縦士 (27 ) の関係先を家宅捜索を実施したところ、医師の診断書を発見したと発表した。上の写真は 2014 年に撮影された ジャーマンウイングス の 事故機 。
上の写真は事故機と同じ A 320 型機の センター コンソル にある、操縦室の ドア スイッチ である。
2001 年 9 月 11 日に起きた ニューヨーク W T C の テロ 事件以後、 操縦室の ドア の強化と共に ロック 機構が強化され、スイッチを L O C K 位置 にすると、外部から ドア が絶対に開かなくなった。 それが今回は裏目に出て、トイレ に立った機長を閉め出す結果となった。
副操縦士宅の家宅捜索の結果押収された医師の診断書には、墜落当日を含めて 「 勤務不可 」 との内容が記されており、当局は副操縦士が精神の病気治療を会社に隠して乗務していた可能性が高いとしている。
ジャーマンウイングスは 27 日、副操縦士から診断書について知らされていなかったことを明らかにした。また、独紙南 ドイツ新聞は同日、副操縦士が 長期間、精神状態について治療を受けていたと報じた。
[ 日航機、羽田沖事故の場合 ]
日本でも昭和 57 年 ( 1982 年 ) に、福岡発羽田行き日本航空 350 便 D C-8-61 型機が羽田空港への最終進入中に沖合い 510 m の東京湾に墜落した。この事故で乗客 24 名が死亡し、乗員 8 名と乗客 87 名が重傷、乗客 54 名が軽傷を負った。
原因は、機長が全 エンジンの出力を アイドルにし、操縦桿を前に押し込んだためであった。機長に このような異常な操作を行わせたのは、妄想型 精神分裂病 ( 精神分裂病は、現在は統合失調症と呼ばれている ) による精神的変調であった。
機長には 「 心身症 」 との診断により乗務を外れていた経歴があったが、実際には、その当時既に精神分裂病を発症していたと推測されている。
その後、乗務復帰から事故までの間も、断続的に機長は異常な言動や行動を繰り返していたが、主治医は 「 うつ病 」 と診断して投薬治療等を行っていた。
機長の家族はもちろん、同僚なども機長の精神的異常にうすうす気付いていたが、上司と医師の間のコーディネーションの不足が招いたものであった。
JAL の運航乗務員だった友人によれば、当該機長の実家はいわゆる 「 精神病の家系 」 であり、先祖や家族に精神病院への長期入院者、自殺者もいて、 近所では誰もが知る 「 問題の家系 」 であったといわれている 。
しかし日本においては パイロット採用に際して興信所による身元調査を、個人の人権を守るために企業に禁止したために、事故が起きるまで会社はこのことを知らなかったといわれている。
「 個人の人権 」 擁護 と、 「 公共の利益 」 = 飛行の安全性確保 との選択の問題でもある。
現在 パイロットに対して乗務前の アルコールの呼気検査を義務付けているが、それよりも航空安全のために なすべき重要な施策があるのではないか!。