ヒンズー教徒と牛
インドに八億三千万人いる ヒンズー 教徒は牛を神聖視し、乳は飲むけれども肉を食べることは決してしない。 ところが 9 月 30 日のこと、ある イスラム教徒の男性 ( 60 歳 )が子牛を殺して食べたという 「 ウワサ 」 が広まった。
激怒した ヒンズー 教徒約 100 人が男性に暴行し殺害、その息子 (22) に重 傷を負わせたと地元メディアが 30 日報じた。警察によると、28 日夜、同州 ダドリ地区で 「 子牛が殺され、死骸が見つかった 」 と伝えられ、同地区の男性宅に暴徒が押し寄せ、家財道具などを破壊。ブロック や石で男性と息子らを殴打した。
報道によれば、同地区に住む イスラム教徒は 2 世帯だけで、もう 1 世帯は不在だった。男性の娘は「 冷蔵庫には羊肉しかない 」 と牛肉を食べたことを否定し、警察は冷蔵庫の肉を持ち帰り分析している。
ヒンズー 教では本来 一体である最高神が 三つの役割、「 創造 ・ 維持 ・ 破壊 」 に応じて 大神の 「ブラフマー ・ ヴィシュヌ ・ シヴァ ( Siva ) 」 として出現する。
破壊を司る神 「 シヴァ 」 の乗り物が牡牛の ナンディン であり、 シヴァ 神の首に巻いているのは、毒蛇の コブラ である。
牛の体内には神々が宿っているという バラモン 教の教えを受け継いだ ヒンズー 教の解釈を後ろ盾にして、牛は神聖さを備えた 「 聖なる動物 」 として大きく変化して行った。
ヒンズー 教は牛を神聖視し、牛を殺したり、牛肉を食べたりすることを禁忌としている。
現在でも バラモン 階層 ( 司祭階層 ) のひとたちは、肉や魚を食べないで、菜食を旨とする ヴェジタリアン ( 菜食主義者 ) と称する人たちがいて、ノン ・ ヴェジタリアン ( 非菜食主義者 ) に対して、多少の誇り さえ持っている。
さらに卵すらも食べない人々も存在し、彼らは 「 ノン ・ エッギスト 」 ( Non- Eggist、卵不可の菜食主義者 ) とか、ヴェジタリアン ・ ストリクト ( Vegitarian-strict 、厳格な菜食主義者 ) とか呼ばれていて、航空会社の厨房で働く人や 機内 サービス に当たる C A に神経を使わせている。
上の写真は インド の北西部にある ラージャスターン ( Rajasthan ) 州の州都で人口 305 万人の ジャイプール ( Jaipur ) 市内を自由に歩く ( 聖なる動物の ) 牛である。ただし分類上は同 じ 「 哺乳綱 ・ ウ シ 目 ( 偶蹄目 ) ・ ウ シ 科 でも、 アジア スイギュウ 「 属 」 に分類される 水牛 は 崇拝の対象とはならない。
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