噴火と航空機 ( その 3 )
英国航空機のように飛行中に火山の噴煙により、全 エンジンが フレーム アウト ( Flame out、消火 ) し出力を失ったらどうするのか?。まずは機体が失速しないように直ちに降下の姿勢をとって速度を保ち、噴煙層から離脱した後に エンジンの再 スタート をしなければならない。
写真は事故に遭遇した 747、但し場所は ジャカルタ ではなく、サンフランシスコ 空港で撮影されたもの。
しかし高高度において飛行機の風圧 ( 気流 ) を利用して全 エンジン を ウインドミル ( 風車、かざぐるま ) スタート ( Windmilling start ) するのは、空気が薄いために容易ではない。
たとえば高度 1 万 メートル ( 3 万 3 千 フィート ) における大気圧 ( 空気密度 ) は地表の 28 パーセント しかないので、仮に 270 ノット ( 秒速 135 m ) の降下速度で飛行しても、 空気密度が地表の 40 % 以上になる高度 2 万 5 千 フィート ( 7 千 500 m ) より低い高度にならないと 、ウインドミル ・スタート は困難であると 一説に言われている。
毎分 3,000 フィートの降下率を保って滑空降下したとしても、山岳地帯でなければ地上に到達するまでには 10 分以上の時間的余裕がある。再 スタートの方法自体は簡単で チェックリストに従い、
1 : スラスト ・ レバー ( Thrust Levers、車で言えばアクセル ) を アイドル ( IDLE、閉位置 ) にする。
2 : エンジン の タービン は滑空中の風圧により回転しているが、N 2 ( 2 軸 エンジン の高圧 ローター の回転数 ) の示度が 20 パーセント以上であれば、点火 スイッチ を 「 オン 」 にして、燃焼室内で火花を出す。
3 : そこへ 燃料 スイッチを 「 オン 」 にして燃料を流せばすぐに点火することにより エンジン の出力が得られ、エンジン に故障がなければ再 スタートは終了する。
英国航空機の場合もどうにか エンジン の再始動に成功し、ジャカルタ の スカルノ ( 初代大統領名、タレント の デビ、根本七保子 は彼の第三夫人だった ) ・ ハッタ ( 初代副大統領名 ) 国際空港へ緊急着陸に成功したので死傷者は出なかった。
それまで何の対策も採られていなかった航空路における火山の噴煙に対する対策が、世界的に急がれるきっかけとなった事故である。( 続く )
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