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2016年4月15日 (金)

英語の トラブル ( 続き )

1939 年の ミュージカル 映画 『 オズの魔法使い 』 で、 ジュディ ・ ガーランド (1922~1969 年 ) が歌った主題歌 「 虹の彼方に 」  ( Over the Rainbow ) が、戦後の日本 (  昭和 20 年代、1945 年 ~1954 年 ) でも流行 し、私も口ずさんだことがあった。この曲は今も演奏されている。
 
その歌い出 しの文句は                              
Somewhere over the rainbow way up the high
参考までに歌詞の日本語訳を記すと、

虹の向こうのどこか 空高くに、
昔 子守歌で聞いた場所があるの。
虹の向こうのどこかでは空は青くて、
強く信じた夢は本当に現実のものとなるのよ。
 
であった。例によって下記の YouTube 動画 を コピー&ペイスト  して、彼女の歌を鑑賞された し。
 
https://www.youtube.com/watch?v=PSZxmZmBfnU

                                                                        
[ ユー キルミー( You kill me ) の巻 ]

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前回述べた S N J という飛行機は 「 ゼロ戦 」 などと同様に、旧式の尾輪式 の飛行機のため、 地上で操縦席に座ると エンジン が前方視界をさえぎるので、誘導路を進む際には左右に機首を振り前方に障害物が無いのを確認 しながら ( つまり S 状に ターン を繰り返 しながら)進むという やっかいな 飛行機であった。

Mentor

敗戦後の飛行機は上の写真のように、全て機首の下に車輪のある前輪式になり、操縦も楽になった。
 
S N J の離陸の際には尾輪を ロック し操縦桿を一杯後に引きながら エンジン 出力を最大に して加速 し、風圧により水平尾翼の コントロール が利くようになると 機首を下げて機軸を水平に して加速を続 け、離陸速度に達 したら機首を上げて上昇する飛行機であった。                                             
ここで読者に質問。離陸滑走中に後席の飛行教官から 「 Get nose over 」 と言われたら、操縦訓練生は、
1 : 機首を上げる。
2 : 機首を下げる。
 
いずれが正解か?。
 
学校英語では上が 「 Over 」、下が 「 Under 」  という認識があり、前述した 「 虹の彼方に、Over the Rainbow 」 からもその認識を裏付けられる。ところが
 
「1」 を正解と した者は ガッデメ  ( God damn it ) の洗礼 を受けることになるが、私の場合は You kill me Yoshi. ( 私の名前 )  ( ヨ シ は 俺を殺す気か ? )  の オマケ が付いた。

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つまり N ose  over  とは N ose  down ( 機首を下げろ ) の意味であり、離陸滑走中に離陸速度に達  しないうちに機首を上げ始めたため失速の危険があり、教官が機首を下げろと言ったのに英語に 無知な私 が更に上げようとしたので  彼が 「 わめいた 」  のであった。今考えると、飛行教官も命がけで仕事を していたと思う。

2016年4月 8日 (金)

英語の トラブル

    単独飛行ができるようになると、最初に習うことは スピン ( 錐もみ ) からの回復操作であった。機種により違いがあるものの、海軍名 S N J ( 空軍名 T-6 ) という単発機は 失速特性が悪く、失速すると必ず右に傾き錐もみ状態になった。

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ある日のこと アクロバット の訓練飛行の際に後席の教官から、Show me a Spin to the left. ( 左回りの スピン をやって見ろ ) と指示を受けた。 その時に丁度 他機の無線通信と音声が重なったので、確認のために 私が  Spin to the left, sir ?    ( 左回りの 「 錐もみ 」 ですか? )    と聞くと  教官が   R ight  と答えた。
 
難 しい左回りではなく、易 しい 「 右回りの錐もみ 」 をなぜやらせるのか疑問に思ったが、指示 (?) のままに機首を上げたままで エンジン の出力を絞って失速するのを待った。
ガタガタ と機体に振動を感じたと思ったら 機体が急激に右に傾くと共に機首が下に落ち、「 右に 錐もみ 」 状態になりながら機体が落下 して行った。
 
二回 まわったところで回復操作を行い、回転方向とは逆方向の ラダー ( 方向舵 ) を 一杯に踏み操縦桿を前に倒すと回転が止まったので上昇姿勢に移った。すると教官から
God damn  it 、I said spin to the Left not right.
ガッデメ ( 直訳すると 神がそれを地獄に落とす ) つまり なんてこった、こんちき しょう 左回 りの スピン ( 錐もみ ) に入れろと言ったろ !    と文句を言われた 。
 
私が Spin to the left, sir ? と尋ねた際に、教官が Right  と言ったのは That is right.  ( その通り ) の意味であり 、渡米後 間もない時期のため言葉の トラブル から Spin to the  「 Right」.  の意味に誤解 して しまったのが原因であった。
 
アメリカ人 訓練生の中には ガッデメ のような カスワード ( Coarse word、 下品な言葉 )   を、飛行教官から浴びせられると意気消沈する者もいたが 、学校英語 しか知らない私には、意味が ピント 来なかったせいか ショック は無かった。
 
英語の トラブル については、 次回でも述べることにする。 操縦教官の多くはいわゆる 戦闘機乗りであり、威勢がよく  「 柄が悪い連中 」  もいたが、中には空母の着艦資格を持つ テイル ・ フッカー ( Tail hooker ) もいた。
 
 

Tail_hook

 
 
 
上の写真は航空母艦に着艦する艦上戦闘機であるが、尾部に突き出ているのは飛行甲板上に 三本張られた拘束装置の ワィア に引っかけて機体を停止させる テイル フック ( 尾部の フック ) であり、空母 パイロット のことを別名 テイル ・ フッカー とも 呼ぶ。
 
ところで 1991 年に ラスベガス の ヒルトン ホテル で 二日間にわたり行われた テイルフック コンベンション ( Tailhook Convention、 空母 パイロット 連盟 の定期総会 ) の際には、参加者のうちの
83 人の女性と 7 人の男性 が海軍士官やその O B から 性的攻撃 ( Sexual assault )と性的嫌がらせ( Sexual harassment ) を受けるという海軍の 大 スキャンダル が起きた。

Shestoodalone

この事件は映画化されたが、題名は  「 She Stood Alone 」  つまり 被害者の 女性は単独で、 隠蔽 ( いんぺい ) 圧力に立ち向かった、という意味であった。

 
ここでは リンク を張れないので、詳しくは下記を、コ ピー & ペイス ト  して読まれた し。
 

https://en.wikipedia.org/wiki/Tailhook_scandal

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