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2018年5月 9日 (水)

相 撲 の 話 ( 最 終 回 )

 東 京 裁 判  の 例 を い う ま で も な く、歴史は 「 勝 者 が作るもの 」 であるのと同様に、「 後 世 の人が作るもの 」 でもある。

最近 相 撲 協 会 をめ ぐ り 話題 となったのは、女性 を 土俵 に上げないのは 「 国 技 と    し て の 伝 統 を 守 る た め 」  であると伝えられているが、相撲協会役員に 下記 の件を 読 んでもらいた い。

日本の 歴 史 書 に  「 相 撲 」  の 文字 が 初めて 登場  したのは、『 日 本 書 紀 』  の 雄 略 天 皇 ( 第 2 1 代、ゆ う り ゃ く て ん の う、在 位 456 ~ 479 年 ) の 1 3 年  ( 西暦 4 6 9 年 ) 9 月 の 条 であった。

 雄 略 天 皇 の 陵

Yuuryaku

陵  名:   丹 比 高 鷲 原 陵  ( た じ ひ の た か わ し は ら の み さ さ ぎ )

陵  形:    円 墳

所在地:   大阪府 羽曳野市 島泉

彼は 多数 の 人 を殺 したために、第 2 5 代、武 烈 天 皇 ( ぶ れ つ て ん の う、在 位、498 ~ 506 年 )  と 共 に、 「 大 悪 天 皇 」  と も 呼 ばれて いた。

雄 略 天 皇 1 3 年 当 時、猪 名 部 真 根 ( い な べ の ま ね ) と いう  「 木 工 の 達 人 」 が いたが、みずか ら  「 終日 斧  ( お の ) を 取 り、石 の 台上 で 木を 割 っても 斧 の 刃 を 損 ずることはな い 」 と豪語 し て いた。

これを 聞 きおよんだ 天皇 はその 慢 心 を 憎 み、真 根 ( ま ね ) を 召 して その 技 を 試 すことに  した。雄 略 天 皇 は 策略を め  ぐ ら し、

「 采 女  ( う ね め、下 級 女 官 ) を 呼 び 集 め、衣 裙 ( い  く  ん、上 着 と ス カ ー ト ) を 脱 ぎ て 犢 鼻 ( と う さ ぎ、フ ン ド シ ) を 著 ( き ) せ  し め、露 (  あ ら わ  ) なる 所 にて 相 撲 取 ら  し む  」

つまり  猪 名 部 真 根 ( い な べ の ま ね ) の 見 える ところで、裸 に  フ ン ド シ を 締 めた 女 官 に 相撲 を 取 らせた。

Onnayuryaku

作業中 に この 光景 を見た 真 根 ( ま ね ) は 心 が 乱 れ、斧  ( お の ) の 刃 を 損  じて  しまった。

彼は 天皇 に 対  して 不 遜  ( ふ そ ん ) な 豪 語 をな  した 罪に 問 われ 死 罪 になるところを、彼 の 木工 の名 人 芸 を 惜 しんだ 同僚 の とりな  しで、かろう じ て 死 刑 を 免 れた。

つ ま り 今から 1, 5 4 9 年前 に 雄 略 天 皇 の 前 で、女 性 の 「 天 覧 相 撲 」  が行われたことを 知 るべきである。

1 6 世紀 に成立 した  『 義 残 後 覚 』  ( ぎ ざ ん こ う か く、編者 は 愚 軒 ) の中では 「 比 丘 尼 相 撲 の 事 」 という項目で、室 町 時 代  ( 1 3 3 6 ~ 1 5 7 3 年 )  の 女 性 力 士 が 紹 介 されている。  そこには、勧 進 相 撲 ( 営 利 目 的 の 興 行 相 撲。大相撲の 源 流 とされる ) に  比 丘 尼 ( び く に、尼 僧 ) が出場  していたことが記されて いた。

江戸時代には女相撲は頻繁に行われていた し、明治になっても各地で女相撲の興行が行われていた。もちろん女相撲 も 上半身 裸 で 乳 房 丸 出 しであった。 下記は 女 相 撲 の 横 綱。

Onnayokozuna

しか し 明治 になって、女性が 裸 で 取っ 組 み 合 う 様 子 が 野蛮 で 文 明 開 化 ではないと 板 垣 退 助 が 批 判  し、この文明開化 の 波 に 乗 って、長年、相撲界 に 蔓 延 し た 男 尊 女 卑 の 土 壌 が 女人禁制 を 伝 統 と し て 浸 透 させ、その論拠 と し て 神 道 の  「 ケ ガ レ 」  の 思想 が 利用 された。

相 撲 が 国 技 と 呼 ばれるようになったのは、「 相 撲 の 話 ( そ の 4 ) 」 で 述 べ た ご と く、僅か 1 0 9 年前 のことであった。

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